2010年09月12日

新刊紹介 若者よ、マルクスを読もう 内田樹・石川康宏 著

若者よ、マルクスを読もういいから黙って読みなさい

”知的刺激”が満載の本です。執筆者の1人、内田樹さんは 「マルクスはすごいぞ」ということを、マルクスの「マの字」も知らない若者たちに理解してもらうのが本書のねらいだと言います。かといって、マルクスを何か完成された理論体系として学ぶよう求めているのではありません。

「20歳代の思索と情熱」の副題が示す通り、もう1人の著者である石川康宏さんとの往復書簡の形で、万人の 「人間的解放」を熱望した青年マルクスが「探検家的なバイタリティ」 で理論的探究に突き進む姿を生きいきと描き、たえず成長・変化をつづけたマルクスの言葉に添って一緒に考え、苦闘し、自らの知性を鍛えて下さいね(石川)と言っているのです。とりあげているのは20代に書かれた 5つの文献(「ユダヤ人問題によせて」「ヘーゲル法哲学批判序説」「経済学・哲学草稿」「ドイツ・イデオロギー」「共産党宣言」)。石川さんが各文献の政治史的・思想的系譜、マルクスの思索の過程や「キモ」を明らかにし、内田さんがしなやかにマルクスの 「すごさ」を指摘します。例えば「マルクスを読んでも、問題は解決しません。でも、自分がどれくらいものを考えるときに不自由であったか…は身にしみて分かります」のように。続編が楽しみです。(山)(かもがわ出版・1500円+税)

(北海道民医連新聞2010年8月12日号より)
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2010年05月20日

新刊紹介 「分かち合い」の経済学 神野直彦 著

wakatiai.jpg新しい社会のビジョン

「生き残り」という言葉が普通に使われる時代です。曰く「国際競争に生き残れ」「生き残る病院になるために」…。著者はいいます。「1929年の世界恐慌からの回復過程で、生き残りをかけた競争があおられ、結局は世界大戦という破局を招いた」 (「はじめに」)。

この 「生き残り」 に対する言葉として著者が提案するのが「分かち合い」です。「幸福は奪い取るものではなく、分かち合うものだから」 と。

新しい社会のビジョンとして、「分かち合い」を提案する著者が、それを現実のものとするための財政と社会保障のあり方を提示したのが本書です。「社会の中での分かち合い」「コミュニティの中での分かち合い」「家庭内での分かち合い」 −それぞれが、スウェーデンなどの例を引きながら、具体的に提案されています。

「分かち合い」は、上から作られるものではなく、その社会の構成員全体が行動を共有しなければすすみません。「孤立・分断から、連帯・共同へ」、そして、「奪い合い」を「分かち合い」 へ。私たちがすすむべき道を考えるうえで、多くのヒントを与えてくれる1冊です。(晃)(岩波新書・720円+税)

(北海道民医連新聞 2010年5月13日号より)
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2010年05月04日

新刊紹介 オバマの戦争 西谷文和著

obama_war.gif戦争に大義などない

イラク戦争に反対して当選したオバマ米大統領。国連を無視した単独行動主義を改め、「核兵器のない世界」 を口にするなど前向きの変化を示す一方で、軍事覇権主義への固執は根深いものがあります。

国内外の反対の声を抑えてアフガン増派を決め、駐留米軍は年内に約10万人にも膨れあがろうとしています。アフガン戦争はまさに「オバマの戦争」 です。

著者は、イラクやアフガニスタンを取材し、現地の子どもたちを救う活動にとりくんできたフリージャーナリスト。アフガン南部のカンダハールに取材し、多くの市民が米軍の 「誤爆」で殺され、傷ついている惨状や、腐敗した政権が国民の苦しみを放置している現状を伝え、「だまされてはいけない。私たちはもっと『オバマの戦争』に敏感になるべきだ」と警鐘を鳴らしています。

「国際テロ組織」アルカイダが米国に”育成”されてきた経過も簡潔に説明し、「オバマの戦争」 は 「偽善的な自作自演の戦争」だと痛烈に批判、日本はこの戦争に手を貸してはいけないと訴えています。カンダハー ル市内の病院で国際赤十字から派遣された3人の日本人看護師が働いていることも紹介しています。(む)(せせらぎ出版・定価600円)

(北海道民医連新聞 2010年4月22日号より)
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新刊紹介 国保はどこへ向かうのか 再生への道をさぐる

kokuho.jpg智恵を出し合う手がかりに

国民健康保険は国民の約4割、4737万人が加入する公的医療保険です。しかし2割が滞納世帯。その制裁として「資格証明書」が発行され、事実上無保険状態に。市営住宅の入居など行政サービスを制限する芦別市の例も紹介されています。差し押さえ、延滞金まで請求され、サラ金を使って支払っている例も。

国保加入者の多くは低所得者です。事業主負担がないため、国の財政措置が欠かせません。しかし、国の負担割合を削り続けたため保険料は高く、3割の窓口負担が払えずに手遅れ死する事例も生まれています。

民医連歯科医が「口腔健康破壊にみる経済格差」 の実態を告発しています。深刻な子どもの虫歯、不規則で不安定な生活のため治療を受けられない青年、寝たきりの高齢者の舌苔…。お金のない人が歯科治療から遠ざけられている実態がリアルに報告されています。

「加入者がお金を出し合い医療費を補助する助け合い制度。だから保険料を払えない人にはペナルティ」。これが行政の説明です。私的医療保険と何も変わりません。「社会保障」としての国保をどう再生するか、本書も手掛かりに知恵を出し合うことが求められています。(天)(新日本出版社・1500円+税)

(北海道民医連新聞2010年4月8日号より)
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2010年05月03日

DVD紹介 どうするアンポ 日本平和委員会・日本電波ニュース

どうするアンポ米軍基地ノーが大多数

在日米軍の是非を問う116人もの街頭インタビューに引き込まれます。

「日本が攻められたら恐いから必要」とスーツ姿の紳士。「そんな事を聞かないの」と怒るおばあちゃん。首をひねり 「よくわからないわ」と戸惑う女性。「女性が危険に晒されるから要らない」とメイド服の若者…。

政府・マスコミは盛んに「日米同盟」 の重要性を訴えますが、多くの人が「米軍基地はいらない」と考えていることが分かります。

「日本はアンポで守られている」と言う人も、一日中、戦闘機の騒音に悩まされている米軍基地周辺住民の苦悩や、巨額の 「思いやり予算」、「米兵による殺人事件」などの実態を知れば、考え方も変わるのではないでしょうか。

軍事評論家の前田哲男さんは、「アメリカの戦略のために、日本は基地とお金を使っている。アメリカにとってこれほど都合の良い基地はない」 と指摘します。

安保改定から50年、アメリカが辺野古沖に新基地建設要求を突き付けるなか、安保廃棄を求める運動に多くの人々が立ち上がっています。安保と兵器で武装するよりも、このDVDで理論武装して日本を戦争から守りましょう。57分。(渋)(日本平和委員会/日本電波ニュース社・5000円+税)

(北海道民医連新聞2010年3月25日号より)

『どうするアンポ』専用ブログ
http://anpo50.seesaa.net/

DVDのケースの表と裏(PDF)
http://anpo50.up.seesaa.net/image/A3B2.pdf
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2010年05月01日

新刊紹介 ルポ貧困大国アメリカU 堤 未果 著

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これからの日本が見える

2008年のアメリカ大統領選挙は国民を熱狂させた。住宅ローンが払えずトレーラーハウスに住んでいる女性は「今日という日を待ち望んでいました。オバマなら必ずこの状況を変えてくれる」とまくし立てた。高すぎる医療費が払えず取り立て業者に脅されている男性は 「これ以上払わないと刑務所行きだというのです。オバマの公約の国民皆保険に期待します」と1票を投じた。

公的医療保険制度がないアメリカでは、国民は民間の保険会社に加入し高額な保険料を支払っている。無保険者は医療機関から診療拒否されるため、法的に診療を拒否できないERにかけこむ。そして病院は赤字が拡大し閉鎖に追い込まれていく。多額の学資ローンが払えず大学を追われる学生。大学を卒業しても仕事はなく、恐ろしく利息が高いローンだけが残る。刑務所でさえ経費は受益者(?)負担であり、受刑者は刑務所での高い食費と日用品代を稼ぐために低賃金労働を強要され、出所時には多額の借金を抱えている。教育も医療も刑務所などの更正施設もアメリカではすべてビジネスの対象であり、利益を生む商品なのだ。

「チェンジ」を掲げたオバマ大統領の政策も破綻していく。アメリカの医師は言う。「医療現場が奪われたものは、患者と医師とのつながりや、医師としての誇り、充実感です。…アメリカが今つきつけられているのは、本当はもっとずっと深い部分でのチェンジではないか」と。これからの日本が見える1冊だ。(高橋純子・函館稜北病院総師長)(岩波新書・720円+税)

(北海道民医連新聞2010年3月11日号より)
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2010年04月07日

映画案内 おとうと 山田洋次監督作品

「寅さん」の渥美清が、鉄郎の笑福亭鶴瓶になった…? そんな感じがする山田洋次監督の映画「おとうと」です。東京の私鉄沿線、商店街の一角にある高野薬局を女手一つで切り盛りするしっかりものの姉が吉永さゆりで、誰もが見放しそうな弟、いえ、みんなが見放した弟を見事にフォローします。

現代劇らしく、忙しい医師の姿や、身寄りのないお年寄りが入所できるグループホームが登場したり、認知症になりかかった義母が同居していたり…。現在の社会をチクリと風刺しながら、こんな社会を作りたいという気持ちも込められている映画です。

郊外型の大型店舗に消費者を奪われがちな現在ですが、地道な地域商店街のつながりも映し出しながら、地域社会の有り様も考えさせられる作品でした。

1960年の市川崑監督による映画「おとうと」 に敬意を表して制作され、映画からさらに絵本が誕生しました。

山田監督は編集途中のフイルムを見ながら、「何も大きなことは起きないんだけど、こんなごくごく当り前の会話や振る舞いを見ているだけで何だか涙が出てくる」 と語ったそうです。道内各劇場で上映中。(釣本道子・県連事務局)

(北海道民医連新聞 2010年2月25日号より)
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2010年03月07日

新刊紹介 民主党の医療政策は私たちのいのちを守れるか? 日野秀逸著

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私たちの対応の方向示す

副題は「事業仕分けに見る民主党の医療政策!」 です。昨年の総選挙で、民主党が国民要求実現を公約に掲げ、大勝しました。しかし、鳴り物入りで行われた「事業仕分け」では「軍事費+アメリカへの思いやり+大企業優先」 の3点セットは対象から外され、後期高齢者医療制度の即時廃止など、公約の多くが先送りされています。

著者は、民主党が「構造改革推進」 の胎盤から誕生し、政権奪取のために小沢一郎氏によって 「福祉バラマキ政策」 へ転換した同党の足取りを検証するとともに、構造改革推進派と保守派、国民生活密着議員派の3つの勢力で構成され、支持層も平和主義・構造改革反対・福祉政策支持層と、日米安保維持・構造改革推進・小さな政府支持層が混在している民主党の体質と矛盾を指摘しています。その上で、批判もすれば後押しも、共同もする 「いのちと健康を守る大運動」 の戦略を説きます。

また、「自己責任」の否定からできた社会保障や経済学の原点に触れ、みんな幸福に生きる権利(憲法13条)があり、その必要条件が平和(同9条)と健康(同25条)だ〔9+25⊂13〕として 「経済合理人モデル」 ではなく 「憲法人モデル」を求めていくことを呼びかけています。 (天)(自治体研究社・1600円+税)

(北海道民医連新聞 2010年1月28日号より)
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キャピタリズム マネーは踊る

銃社会の危険性を描いた「ボーリング・フォー・コロンパイン」、ブッシュ政権のイラク戦争を痛烈に批判した「華氏911」、企業本位の医療保険制度に切り込んだ「シッコ」などの作品で知られるマイケル・ムーア監督が、アメリカの資本主義にズバリ切り込んだドキュメンタリー映画です。

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2008年9月、リーマン・ブラザーズが破錠。多くの米国市民が住宅ローンを払えなくなり、銀行に家を差し押さえられます。映画は、何台ものパトカーを連ねてやって来た保安官が家のドアを破って立ち退きの強制執行をする衝撃的な場面から始まります。

差し押さえられた家の前で泣きながら家具を燃やす夫婦。突然解雇されて路頭に迷う労働者たち。受取人を会社にした生命保険を社員にかけ、社員が死ぬと保険金を全部会社が手に入れた事を知って妻や家族が怒る一幕など、まるで今日本で起きていることを見せつけられているようです。

資本主義が暴走し始めたのは、レーガンが大統領になり、弱肉強食の新自由主義がウォール街を支配するようになってからだと、ムーア監督はスピーディーな映像で畳みかけるように訴えます。1%の富裕層のために減税と規制緩和を進め、多くの人たちは懸命に働いても貧しい暮らしを余儀なくされています。

現在アメリカの失業率は10%に達します。資本主義は合法化された強欲なシステムだというメッセージが全編を貫き、この不公平なシステムをただしたいという熱い思いと怒りが伝わってきます。

突然工場を解雇された労働者たちが団結して、全国的な支援を受けて銀行から解決金を勝ち取る闘いも描かれます。立ち退かされた住宅の封鎖を地域住民が解除した闘いもあります。泣き寝入りする市民ばかりではありません。

弱い人たちへの共感と慈愛にあふれ、民主主義ってこういうことなんだと胸にストンと落ちました。

深刻なテーマですが怒りをユーモアにかえて描かれています。経済の仕組みがさまぎまな事例を通して理解できます。政治に無関心であってはならないと思いました。若い世代の人達にこそ観てもらいたい映画です。

樋口みな子

(北海道民医連新聞 2010年1月28日号より)
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いのちの山河 日本の青空U

老人医療費の無料化を実現した沢内村を描いた映画「いのちの山河」を観て、憲法25条(生存権)の大切さを痛感しました。

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憲法25条では「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と謳われており、生活に大きな格差があってはならないはずですが、最近の社会状況をみると、格差が生じ、そして深刻になってきているように思います。

映画では ”医療を受ける権利=高齢者の生存権” ということを柱にすえ、老人医療費無料化を実現した先駆的取り組みが描かれており、理想を追求することの重要さとともに、実現のために努力する人が必要だと思いました。

豪雪・貧困などにより沢内村では、死亡診断書を書いてもらう際に初めて医者に診てもらうという人が多く、少年時代にそのような光景を目にした深沢晟雄氏は、村を救わなければならないと使命感を覚えたのです。そして村長となり、医者を呼び、診療所を作り、村人達が天国のようだと喜ぶ村づくりを追求し続けました。

私は現在の格差社会にどこか諦めを抱いていましたが、諦めてしまうのではなく、投げやりになるのでもなく、まず現実を見つめ、国や政治のあり方を考えていかなければならないと感じました。命を守る医療や福祉に携わる者として…。

ソーシャルワーカーである私は、日々格差社会の現実を目の当たりにしています。住む家すらないホームレスの方や病院にかかるお金もないわずかな年金暮らしの高齢者の方々の暮らしぶりは、「沢内村」に通じるものがあるように思います。民医連が掲げる「無差別平等の医療・福祉」「無料低額診療制度」などが、このような人々を助け、健康といのちに格差のない社会を創造する第一歩となっているように感じています。

私はこの映画を観てあらためて私たちの役割の大切さを感じ、困難ではあるけれどもみんなで力を合わせて頑張っていこうと思いました。

田村史織(勤医協札幌西区病院・ソーシャルワーカー)
   ◇
道内では、4月3日に札幌市中央区・共済ホールで上映予定。

(北海道民医連新聞 2010年1月28日号より)
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2009年12月21日

新刊紹介 さっぽろのタコ部屋-このままでは殺される-札幌郷土を掘る会

さっぽろのタコ部屋今日の問題にも通底

戦前、北海道の河川・道路などの土木工事は、その多くが「タコ部屋労働」といわれる強制労働や、朝鮮人・中国人の強制労働によって担われました。馴染みある地名が登場しますが、そこで行われていた労働は過酷なものでした。脱走者は見せしめ集団リンチにあい、生き埋めにされた遺体は今も山林に埋められたままです。

集団リンチ目撃者や逃亡者の手助けをした人々が語る 「タコ部屋」 の証言は生々しく、読みながら痛みを感じるほど。極限まで人間を抑圧し、逃げ出せば撲殺される人権無視の実態が暴かれています。タコ部屋労働者は中国や朝鮮からもかき集められ、差別を受けた朝鮮人が、「俺は人間だ」と叫んで袋叩きにされたことも記録されています。

周旋屋にだまされ、前借金をした労働者が、住みこみで過酷な肉体労働を強いられ、逃げだせない…それは現代にも通ずるものがあります。「逃亡は逆境から生きようとする積極的行為。逃亡者らから学ぶこともあるはず」 − 過去を学び、悲劇を繰り返さぬよう本書は呼びかけています。(渋)(札幌郷土を掘る会・1000円)

(北海道民医連新聞2009年11月26日号より)
タグ:タコ部屋
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2009年12月20日

新刊紹介 冬の兵士 イラク・アフガン帰還兵が語る戦場の真実 反戦イラク帰還兵の会

冬の兵士日本人は直視する責任

2004年に発足した反戦イラク帰還兵の会が、昨年3月に 「冬の兵士」と題する公聴会を行いました。本書は、その公聴会で証言台に立った50人以上の帰還兵とその家族、そしてイラクの民間人の証言をまとめたものです。

公聴会は米国内のすべての大手メディアに取材を拒否されました。しかし、帰還兵の会を支援する多くの人たちの手によって陽の目を見ることができました。

「我が隊の車列は斬首されて道路脇に放置された死体に何度か行きあたりました。このような死体に出くわしたときの標準的手順は死体を車で轢いて進むことでしたが、ときにはわざわざ車を止めて死体と一緒に写真をとりました」

証言は耳をふさぎ、目を覆いたくなるものばかりです。しかし米軍の配下として自衛隊を派兵した日本人は、「この人たちの物語から目をそむけてはならない。それはあなたの物語でもあるのだから」(「はじめに」)。その指摘を胸に刻んで一読することを勧めます。

公聴会はドキュメンタリー映画にもなっています(監督・田保寿一)。DVD(3000円)はhttp://wintersoldier.web.fc2.comから申し込めます。(晃)(岩波書店・1900円+税)

(北海道民医連新聞 2009年11月12日号より)
タグ:イラク戦争
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2009年12月01日

新刊紹介 笑って死ねる病院 テレビ金沢

笑って死ねる病医医療の平等を貫いて

 2008年6月に日本テレビ系列で放送されたテレビ金沢制作「笑って死ねる病院」が本になりました。

 番組は石川民医連・城北病院が、終末期の患者に寄り添って希望をかなえていく様子を紹介したもので、放映後に大きな反響を呼びました。書籍化にあたり、放送された2人の患者さんに加え、新たに4人のエピソードを紹介しています。

 34歳の若さで胃がんでなくなった男性。最後にパチンコをしたいと希望し、医師や看護師が付き添ってパチンコ屋に行きます。看護師2人は大音響に驚き、思わず耳を塞ぎますが、患者のためなら濁った空気も苦にしません。約2時間、男性は痛み止めもなしに無心に玉を打ち続けました。

 ALS (筋萎縮性側索硬化症)の49歳の女性。人工呼吸器をつけ、娘さんの結婚式に参列する様子や、参列するまでの葛藤が克明に描かれます。

 死を前にした患者さんの思いが胸に迫り、患者さんに寄りそう医師や看護師たちの姿に涙が出ます。「医療の平等」を貫き通す城北病院職員集団が、同じ民医連の仲間であることを誇らしく感じます。医療制度の矛盾も声高にではなく告発しており、改善に向けて、闘志も湧いてきます。(子)(ワニブックスPLUS・760円+税)

(北海道民医連新聞 2009年10月22日号より)
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2009年10月11日

新刊紹介 消費税は0%にできる 菊池英博著

消費税は0%にできる
社会保障充実の経済学

民主党は「(年金改革のため)消費税を増税する」 といいます。財界は選挙後も「財政危機だ。消費税を増税して法人税を下げよ」と騒いでいます。国民の一部にも「消費税増税は仕方ない」 という声もあります。

著者は、日本の財政は一般会計と特別会計を合わせると黒字で、海外で日本が「財政危機だ」と思っている人はどこにもいないと指摘します。日本は海外に300兆円もお金を貸している世界一のお金持ち国家であり、マスコミや御用学者の 「偽装財政危機」に騙されるなと強調します。

日本の税収に占める消費税の割合は、税率25%のスウェーデンに相当します。著者は日本や海外の税制の歴史にも触れ、法人税を引き下げ、庶民増税をした国では財政が破たんしてきた事実を示します。

歴代自民党政権が米国や財界の意のままに追求してきた「小さな政府」「均衡財政」「消費税」は「財政の罠に陥る三つのドグマ」だと断じる著者は、「消費税は0%にすることもできる」 と主張します。そのキーワードが医療をはじめとした社会的共通資本の充実です。今後のたたかいを進める上で、格好の参考文献です。(天)(ダイヤモンド社 定価1500円+税)

北海道民医連新聞2009年10月8日号より
タグ:消費税
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新刊紹介 いまあなたにできる、50のこと 社会貢献、はじめの一歩

いまあなたにできる50のこと
できることがきっとあるはず


世界中で、戦争や貧富の格差、病で苦しんでいる人たちのために、「何かの役に立ちたい」と思ったとき、その善意をどうカタチにしたらいいか、わからない。本書刊行の動機が「はじめに」 のなかで、そう語られています。

「100円で…1平方bの地雷原をきれいにすることができます」「使い終わったランドセルを贈ると…机代わりにもなって喜ばれます」といった「50のこと」が紹介され、「これならわたしもできそう」 と思わせてくれます。同時に、「50のこと」を受け入れ、世界各地で人道支援活動にとりくむ50の支援団体(おもに、民間団体)が紹介されていることに目を見張りました。ボランティア活動や、海外に目を向けた活動が広がっていることはわかっていたつもりですが、初めて聞く団体も多く、驚きます。

その団体で活動している方々が寄せたコラムに、「なぜこれだけ人道支援活動が広がったのか」 の答があります。民医連が、働くものの医療福祉機関として、困難を抱える人々の 「いのちとくらし」 を守るために活動していることと、根底ではつながっていると感じます。なお、この本を買うと20円が難民援助への募金となります。(晃) (WAVW出版・1200円+税)

北海道民医連新聞2009年9月17日号より
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新刊紹介 語りおくこといくつか 加藤周一著

新患紹介 語りおくこといくつか 「知識人」の面目躍如

九条の会呼びかけ人の一人である加藤周一さんが突然この世を去ってから10ヶ月が経ちました。生前は高齢の身をおして全国各地で講演を行っていました。札幌には医療九条の会・北海道の結成記念講演会にお招きしました。2006年のことです。

本書は、その講演の数々をまとめた講演集全4巻の最終巻にあたります。ちなみに前3巻は 「T同時代とは何か」「U伝統と現代」「V常識と非常識」。全4巻の中では最もバラエティに富んだ1冊と言えます。「文学の効用」から「異なる宗教観の対話」、「映画は20世紀に何をもたらしたか」 までまさに縦横無尽。さらに劇作家・木下順二、映画評論家・江藤文夫、政治学者・丸山眞男という同世代の巨匠たちへの心からの賛辞。「現代最高の知識人」 と表される加藤周一さんの面目躍如です。気さくで飾らない人柄が書中から立ちのぼり、ほのぼのとした思いさえ湧いてきます。

それにしても、今加藤さんが存命であったなら総選挙の結果をどう評価し、今後の9条を守り発展させる運動にどのような激励をおくっていただけただろうかと思わずにはいられませんでした。 (晃)

(かもがわ出版・2600円+税)

北海道民医連新聞2009年9月3日号より
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新刊紹介 アメリカ福祉改革の悲劇に学べ! 生活保護問題対策全国会議

アメリカ福祉改革の悲劇に学べ! 現代社会を浮き彫りに

反貧困ネットワークの中心を担う生活保護問題対策全国会議が主催し、昨年の年越し派遣村に先立って開催したシンポジウムの記録です。生活保護基準の切り下げ、さらに有期保護(生活保護を5年で打ち切る)が持ち出されたことに対して、生活保護の現場から反対の声を上げていこうと開催されたシンポジウムで、カリフォルニア大学リバーサイド校のエレン・リース准教授の報告「アメリカの福祉改革−追随するには最悪のモデル」のほか、「構造改革」派がモデルとしているアメリカの福祉改革について、北星学園大学の木下武徳准教授が特別報告しており、政府の目指している社会保障の姿を学ぶことができます。

当事者(路上生活者、生活保護利用者、障害者、母子家庭)が、その生活実態をリアルに報告し、生活と労働問題の第一線で活躍するシンポジストの発言とあいまって現代社会の問題を浮き彫りにしています。

シンポジウムをまとめた尾藤廣喜弁護士は、「雇用問題と生活保護の問題を連帯して取り組もう」と呼びかけ、まさに現代の 「貧困と格差」が拡大する社会の中での私たちの運動の方向を指し示す1冊です。(晃)

(反−貧困つながるブックレット・700円)
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2009年08月11日

新刊紹介 われら青春の時 佐藤貴美子著

われら青春の時
民医連草創期のロマン

1953年9月、名古屋市南部の農村地帯に民主診療所が産声を上げました。新卒女医 「わ子さん」 がこの小説の主人公です。本名伊藤和子さん。戦後の激動期、いのちの平等と平和を求めてまっすぐに立ち向かう姿が生きいき描かれています。弾圧で逮捕された仲間、セツルメント活動を通じて知った「いのち」の重み。ごく普通の女性医師がなぜあばら家に住みこんで民主診療所の初代所長になったのか? 診療所に寄せる地域の人々の信頼はなぜ生まれたのか? 迷い悩みながらあるべき姿を追い続けた民医連の先輩たちの息づかいが伝わります。

同じころ、北海道勤医協は全道各地に14診療所を立ち上げ、医師不足と経営難で塗炭の苦しみを味わっていましたが、やがて 「不死鳥」 のようによみがえります。そこでも平和を求める道民の運動と結びついた先輩たちの活動、北大・札医大の学生たちのセツルメント活動がありました。

民医連綱領の改定が提起されています。60年も前の草創期の精神が、歴史の検証に耐えて輝きを増しています。当時の「青春」「ロマン」 に触れることは、きっとみなさんの民医連人生を豊かにするでしょう。(S)(新日本出版社・2000円+税)

北海道民医連新聞2009年8月6日号より
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新刊紹介 どんとこい、貧困! 湯浅 誠著

どんとこい、貧困!
自己責任論よさらば

「努力しないのが悪い」「死ぬ気でがんばれ」「かわいそうだけど仕方ない」と「自己責任論」で責め立てられているのは大人だけではありません。本書は読者を中学生以上に想定し、貧困とは何か、どうすれば解決できるのかを、極めて説得的に提示しています。

例えばイス取りゲーム。イスに座れないのは本人の努力がたりないからではなく、みんなが座る分だけイスを用意していないから。貧困も同じこと。正規労働者をどんどん減らせば、イスに座れず、低賃金で働かされる非正規労働者が増えるのは当たり前。分かりやすいですね。

タイトルの「どんとこい」は歓迎ではなく、「貧困から逃げずに立ち向かえる社会を作ろう」 というメッセージが込められています。

大企業が「『国際競争に勝てないから』と脅して賃金を下げるのは、社会の利益にならない。そんな企業なら出ていってもらったほうが社会のため」と言う批判は痛快。日本が賃金を下げたら他の国も下げ…キリがない。生活を守るために際限なく我慢し続け、さらに生活を悪化させる社会なんて、変えなければなりません。変えるチャンスが来月末に訪れます。(渋)
(理論社YA新書・1300円+税)

北海道民医連新聞2008年7月23日号より
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新刊紹介 北の反戦地主 川瀬犯二の生涯 布施祐仁著

北の反戦地主 川瀬犯二の生涯
 素朴さと気高さと

日本平和委員会の機関紙「平和新聞」の編集長を務める筆者は、北大在学中から13年あまり矢臼別・川瀬氾二さんのもとへ通い続けました。その生涯をまとめようと足かけ2年にわたる聞き取りを終えた直後の昨年10月、川瀬さんは病に倒れ、今年4月、83年の生涯を終えました。

川瀬さん自身は自分のことを 「反戦地主」とは言わず、「矢臼別の住人」と自己紹介していました。声高に「反戦・平和」 を叫はなく、演習場のど真ん中で47年にわたってくらし続けたこと自体が、川瀬さんの 「平和運動」 でした。

生前、川瀬さんが書き残した色紙の中に「時速4kmの人生」 という言葉があります。80歳のお祝いの席でのあいさつでは 「自分の中に憲法9条が根付くまでに20年かかった」とも述べています。

厳しい自然の中で、自分たち家族のくらしを守ろうと、しっかりと着実に生き続けてきた川瀬さんの飾らない人生の一端を知ることができる1冊です。

今年、矢臼別平和盆おどりは45周年を迎えます。川瀬さんのいない、初めての平和盆おどりですが、この本を読んだあなた、ぜひ一度、矢臼別へ行ってみませんか。 (晃)
(高文研・1600円+税)

北海道民医連新聞2009年7月9日号より
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