2008年12月31日

Field-note 北の自然 ドロバチ

北の自然 ドロバチ
(北海道民医連新聞2008年12月11日号より)

 夏のある日のこと、玄関を出ると、壁に写真のようなものがくっついていました。ドロバチの巣です。

 ドロバチは、スズメバチよりもほっそりとしたハチで、泥の塊を使って壁や軒下などに巣を作ります。巣を作るのは根気のいる作業で、泥と巣の間を何度も何度も往復しなければなりません。ようやく完成すると、今度はイモムシを捕まえてきてせっせと詰め込みます。そして、ギュウギュウになったら、卵をひとつ生み付けて蓋をしてしまいます。蓋をするのは天敵から幼虫を守るためですが、そのままでは餌として入れたイモムシはすぐに腐ってしまいます。そこで親はイモムシを殺してしまうのではなく、毒針で麻酔をかけて動けなくします。そうすることで、孵化した幼虫はいつでも新鮮な餌が食べられるというわけです。

 生きながら餌食になるイモムシはたまったものじゃないでしょうが、これが自然界の厳しさなのです。

 夏の早い時期に孵化したものは、一週間から十日ほどで成虫になり、巣に穴を開けて出てきます。秋口近くなってから孵化したものは巣の中で終齢幼虫のまま越冬し、翌春羽化するため巣穴は閉じられたまま。暗い巣の中で、やがて来る春を待っています。
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2008年12月25日

Field-note北の自然 ヤマブドウ

北の自然 ヤマブドウ
(北海道民医連新聞 2008年11月27日号より)

 野生の味覚として名高いヤマブドウ。おいしいジャムやジュースができるので、毎年欠かさず採っている方も多いでしょう。秋になると、大きなリュックを背負い、高枝切りばさみを手にした、一見してヤマブドウ採りだなと分かる人と度々林道ですれ違います。

 かく言う私も、子どもの頃からおやつ代わりによく食べていました。あちこちに 「採り場」 があって 「この木は酸っぱい、この木は甘め」と、木によって異なる味を楽しんでいました。

 ワイン用のブドウ作りでも、たったの数メートルしか離れていないのに全く違った味のものが採れるらしいので、野生も同じなのかもしれませんね。

 加工するのであれば10月が採り頃ですが、そのまま食べるのであれば今時期がお勧めです。というのも霜に当たることで酸味が抜けて、甘い、こくのある味に変わるからです。ただし今ぶら下がっているのは、高いところになっていたおかげで秋に採られずに済んだものばかり。高枝切りばさみがなければ、指をくわえて眺めることになるのでご注意を!
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2008年12月04日

Field-note 北の自然 イチイ

北の自然 イチイ
北海道民医連新聞2008年11月13日号より


 北海道ではオンコの名で親しまれているイチイ。雌雄別株で、雌株は 秋に小指の先ほどの可愛らしい赤い実をつけます。実は触るとプクプクしていて、食べるとほんのり甘味がありなかなかおいしいのですが、中に入っている種はタキシンという毒を含んでいて、間違ってかじるととても苦いので要注意です。これは、おいしい実で、鳥の食欲をそそり、種はフンと一緒にポイッとしてもらうための戦略です。裸子植物は鳥類よりも先に地球上に存在しているので種は風散布のものが多く、イチイのように鳥散布のものは少数派です。

 イチイの材は丈夫でよくしなるので、アイヌ民族やケルト民族などに弓の材料として使われてきました。面白いのが1991年にアルプスの氷河で発見された「アイスマン」と呼ばれるミイラです。このミイラ、初めは数十年ほど前のものかと思われましたが、調べてみるとなんと5000年も前のものだということが分かりました。そのミイラもイチイで作った弓を持っていたそうです。昔から最高の材として、人びとに利用されていたのですね。
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2008年10月31日

Field-note 北の自然 カメムシ

北の自然 カメムシ
北海道民医連新聞2008年10月23日号より


 ユキムシ、深まる紅葉、木枯らし。近づきつつある冬を感じさせるものはいくつもありますが、我が家においては「カメムシの襲来」も、その中のひとつです。

 越冬場所を求めて家の中まで入ってくるカメムシたち。今のところ3種類を確認していて、それぞれに発する匂いも違うということが分かりました。今年はその中でも 「臭い匂いワースト1」 の緑色のカメムシが多く、残念ながらはずれ年のようです。

 ところでカメムシは、どうして匂いを出すのでしょうか。私たち人間にとっては不快極まりない嫌な匂いですが、天敵の昆虫たちに対しては、おいしいご馳走を手放すほどの撃退効果はないようです。ならば一体何のためかと言いますと、「ここに敵がいるぞ!」と、周りの仲間たちに危険を知らせるための 「警戒フェロモン」や、「いいものがあるぞ」 と知らせる 「集合フェロモン」 として使われているのです。我が家は本当にカメムシが多いのですが、もしかして 「いい越冬場所があったぞ」と、集合フェロモンを出されているのでしょうか…?
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2008年10月12日

Field-note 北の自然 ビロードモウズイカ

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(北海道民医連新聞2008年10月09日号より。780KB(01:39)

 ビロードモウズイカ、まるで妖怪のようなオドロオドロしい名前のこの植物、漢字で 「天鷺絨毛蕊花」と書きます。ビロード(天鷲絨) のような手触りで、雄蕊 (おしべ) に毛の生えた植物、という意味です。地中海沿岸の帰化植物で、緯度が同じくらいの北海道や東北の空き地、道ばたなど日当たりの良いところに生えます。背丈が2メートル前後と大きくよく目立つので、見つけたときはぜひ葉を触ってみて下さい。ふわっふわで、まさにビロードのような手触りに思わずうっとりしてしまうと思います。

 今や至る所に生えているクローバーやオオバコだって帰化植物です。であれば空き地や道ばたにこの植物が生えていても仕方がないかなと思うのですが、ここ数年、山の中でよく見かけるようになってしまいました。というのは最近、頻繁に上陸するようになった大型の台風が、山中の木々を根こそぎなぎ倒し、そこにビロードモウズイカが進出してきたのです。1本からまき散らされる種は、百個は優に越えています。それが次の年にまた芽を出す。しかも条件が悪ければ、良くなるまで百年間も待ち続ける種もあるのだとか。それは増えるはずですよ…。
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2008年10月10日

Field-note 北の自然 クスサン

北の自然 クスサン
北海道民医連新聞2008年9月25日号より。675kb(01:25)


 秋になると見かける目玉模様の大きな赤茶色のガ、名前をクスサンといいます。ガは小さなものから大きなものまで合わせると相当な種類があるのですが、中でもクスサンは生息数が多く、最もポピュラーなもののひとつです。幼虫の餌がコナラやヌルデ、クリ、イチョウなど、森林性のものから街路樹として植えられているものまで幅広いのが大きな理由でしょう。

 幼虫(1)は鮮やかなエメラルドグリーンに、白くて長い毛がたくさん生えていることから、「シラガタロウ」「シラガジジイ」「クリケムシ」 など、いろいろな愛称で呼ばれてきました。どれも親しみを込めて呼んでいたことが想像でき、ほほえましくなります。幼虫は7〜8月、口から糸を吐き出し、「スカシダワラ」と呼ばれる網目模様のマユ(2)を作ります。編み編みのマユは風通しが良く、見るからに涼しそうです。このマユで高温多湿の夏を乗り切った蛹が秋に羽化するのです。羽化した成虫(3)の仕事は卵を残すこと。どこかで見かけたときには、そっと見守ってあげて下さいね。
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2008年09月26日

Field-note 北の自然 ゲンノショウコ

北の自然216ゲンノショウコ
北海道民医連新聞 2008年9月11日号より。676KB(01:38)



 ちょっとした草地ならどこでも見かけるゲンノショウコ。雑草の代表格と言ってもいいほどありふれた草ですが、淡いピンク色の花は小指の先ほどしかなく、小さく目立たないためか、あまり注目されることはありません。が、しかしこの草がなかなかおもしろいのです。

 まずは花ですが、咲き始めは雄しべだけが成熟して、昆虫たちに花粉を運んでもらいます。その後、雌しべが伸びてきて、他の花から花粉をもらいます。これは自己受粉を避け、別の花の花粉と交配できるようにするための仕組みです。秋になると写真のようにくるりとはじけて種を飛ばしますが、この飛ばし終わった後の姿が御神輿に似ていることから 「ミコシグサ」とも呼ばれています。確かに似ていますね!。夜な夜な昆虫たちが御神輿担ぎをしていそうな雰囲気です。

 そして、なんと言ってもこの草の一番すばらしいのが薬効です。全草を乾燥させて煎じたものは胃腸薬になり、これがものすごく効くのです。あまりにも効くので 「現の証拠」という名前がついたほどです。ただし「良薬は口に苦し」。かなり苦いので、試してみたい方は覚悟の上で、どうぞ。
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2008年09月19日

Field-note 北の自然 アワフキムシ

北の自然 アワフキムシ
北海道民医連新聞2008年8月28日号より


 すっかり初秋の雰囲気が漂う今日この頃ですが、今年は何故だか夏のセミたちがさっぱり泣かなくて、何だか忘れ物をしてきたような気分です。そんなセミの代わりと言っては何ですが、小さなセミの仲間をご紹介します。

 写真の虫をご覧になったことはありますか? 大きさはわずか1センチ前後、色も茶色く地味なので、正直あまり目立ちません。「触ろうとすると、ピーンと跳ねて逃げていく虫」というと何となく浮ぶ方がいらっしゃるでしょうか。この写真は成虫ですが、こちらに馴染みがなくても、もう1枚の写真ならば、見たことのある方も多いと思います。枝についたビショビショの泡、そう、アワフキムシです。この泡の中にはアワフキムシの幼虫が住んでいます。

 彼らは草や木の枝に細長い口を刺して液を吸い、栄養分だけを吸収して、余分な水分をお尻から排泄しています。このときに泡状になるのですが、泡には脂肪酸やタンパク質が含まれていて、雨などがあたっても、簡単には消えないようになっています。天敵から身を守ったり、乾燥を防ぐといった効果があるようです。
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2008年08月23日

Field-note北の自然 アメンボ

field-note214アメンボ
北海道民医連新聞2008年8月14日号より。754KB(01:36)

 水面に波紋を作りながらスイスイと泳ぐ、夏の風物詩、アメンボ。夏の暑さも何のそのといった感じで、姿を見ているとこちらの方まで涼しくなってきます。水面を歩ける昆虫にはクモやハエなどもいますが、一生のほとんどを水辺で過ごすのはアメンボだけです。水草に生み付けられた卵が孵化すると、すぐに水面での生活が始まります。餌は水面に落ちてきた小さな虫で、落ちた時に起こる波紋で情報をキャッチします。その他、脱皮をするのも眠るのも全て水辺。唯一、冬が近づくと水辺を離れて落ち葉にもぐって越冬します。でもどうやって落ち葉のある場所まで移動するのでしょう。エッチラオッチラ歩いて? いえいえ、あまり知られてはいませんがアメンボには羽があって、飛んで移動することができるのです。雨後の水溜まりにいるアメンボもどこからか飛んできたものです。種類によって羽の長さが違い、水溜まりのような途中で干上がる可能性のある場所を好むものは、頻繁に移動する必要があるので羽は長く丈夫にできています。ため池などで生活するものの羽は、移動が少ないため短く、その分浮いたエネルギーを繁殖に回しています。
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2008年08月05日

Field-note北の自然 サシガメ

field-note北の自然 サシガメ
北海道民医連新聞2008年7月24日号より。764KB(01:37)


 多くの方が楽しんでいる家庭菜園。無農薬で安心安全な野菜を育てられるのが醍醐味ですが、悩みは虫がつきやすいことでしょう。特にキャベツや菜っ葉類などは、こまめに虫を取り除いてやらないと収穫前にボロボロになってしまいます。

 我が家にも畑があり、いろいろなものを植えているのですが、先日ふとキャベツを見たところ、大きな青虫がたくさんついているではありませんか!もちろん葉っぱには穴がたくさん。これは大変!と、青虫には申し訳ないけれど、お引っ越ししてもらうことにしました。1匹、2匹と葉の裏表を探しながら取っていると、近くにサシガメがいるのを見つけました。

 サシガメはカメムシの仲間で、ストローのような長い口で獲物を刺して汁を吸う虫です。我が家の畑では時々見かける虫で、憎っくき青虫を捕ってくれるありがたい存在です。写真のサシガメも、しっかり青虫を捕まえてくれていました。
 
 畑の虫というと、どれも害虫のように感じてしまうかもしれませんが、こうした益虫もたくさん住んでいます。むやみやたらに駆除してしまわないで、まずは生活ぶりを覗いてみることをお勧めします。
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2008年07月25日

Field-note 北の自然 カタツムリ

Field-note北の自然 カタツムリ
北海道民医連新聞2008年7月10日号より。696KB(01:29)


 ここのところ晴天続きで私たち人間にとっては心地よいですが、雨の好きな生き物たちは迷惑しているかもしれません。写真のカタツムリもかんかん照りは大の苦手。お日様を避けられる、涼しくて湿り気のある草陰や木陰に潜んで雨を待っています。

 カタツムリのチャームポイントと言えば、やっぱり長い目玉でしょうか。ちょんとつつくと引っ込める長い目は、明暗が分かる程度で、物の形までは見えていません。障害物があると引っ込める、言わば杖のような役割をしています。

 その下には短いヒゲのようなものが生えていますが、これは匂いや味を識別する部分で、ここで食べ物とそうでないものを見分けています。

 森林を歩けばカタツムリに出会うことはよくあるのですが、そんな時はぜひ体の色に注目してみて下さい。親からの遺伝によってその色が決まる体は、明るい林の縁に住むものは白っぽく、日のあまり当たらない林の中に住むものは黒っぽい色をしています。敵に見つからないよう上手く工夫されているのですね。

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2008年07月13日

Field-note 北の自然 アメリカザリガニ

Field-note北の自然 アメリカザリガニ
北海道民医連新聞2008年6月26日号より。789KB(01:40)


 先日、仕事で行う釣りイベントの下見も兼ねて、札幌市東茨戸にある伏古川と茨戸川の合流地点で釣りをしました。水質はお世辞にも綺麗とは言えず、どちらかというとちょっと澱んでいる感じです。釣り糸を垂れている人はそこそこいるものの、あまり頻繁に釣れている様子もないので私達も期待はしていませんでしたが、やっぱり小さなウグイやウキゴリがポツリポツリと釣れるだけ。一緒に連れていった我が家の子どもたちは飽きてしまい、網で水中を探り出しました。すると、なんとアメリカザリガニが網に入ったではありませんか!

 アメリカザリガニは北アメリカ原産の外来種で、約70年前にウシガエルの餌としてわずか20匹輸入されたものが各地に広がりました。生息地は一応「北海道以外の日本各地」となっているのですが、少しずつ増えているのかもしれませんね。

 以前、琵琶湖に行った際、ふと水中を見るとたくさんのアメリカザリガニがいてびっくりしたのですが、北海道があんなふうにならないことを祈っています。ものすごく繁殖力の強い生き物なので、もし今飼っている方がいらっしゃいましたら最後まで飼い続けて下さいね。「ガニくん」と名付けられた我が家のザリガニも最後まで飼うつもりです。
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2008年07月02日

Field-note 北の自然 エゾハルゼミ

Field-note北の自然 エゾハルゼミ
北海道民医連新聞2008年6月12日号より。734KB(01:33)


 夏日になる日があるかと思えば、今度は10℃にも満たない日が続く、何とも安定しない日々でしたが、ようやく春らしくなってきたようです。

 5月20日前後に初鳴きを確認したエゾハルゼミも最初は数匹が寂しげに鳴くばかりでしたが、6月初旬からはまさに「蝉時雨(せみしぐれ)」。あちこちから「ミョーキン、ミョーキン、ミョキー」の大合唱が聞こえてきます。様々な種類のセミが鳴く夏に対して、春に鳴くのはエゾハルゼミだけ。気温が低くてあまり活発に活動できない日や、もう寿命で弱っているものなどが草に止っていることも多いので、目にする機会もあるでしょう。手に取ってみると分かりますが、夏のセミに比べて体はかなり小さめで、よくこんな小さな体で大音量を響かせられると感心してしまいます。

 一体どうやってあの音を出しているのかというと、まず「発音筋肉」と「発音膜」という部分で音を出します。でもそのままでは小さいので「共鳴室」という拡声器のような部分に音を伝えて共鳴させ、大きな音を作り出しています。共鳴室は空洞になっているので、手に取る機会があったら是非、体を光に透かしてみてください。
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2008年05月26日

Field-note 北の自然 ヒトリシズカ

Fieldp-note北の自然 ヒトリシズカ
北海道民医連新聞2008年5月22日号より。741KB(1:34)


 強い日差しを避けて咲く花、ヒトリシズカ。背が高いわけでも、特別花に派手さがあるわけでもないのについつい目がいってしまうのは、艶やかな葉を天に仰いで群生する姿が印象的だからでしょうか。

 ヒトリシズカは、かの有名な静御前が名の由来になっています。静御前は、男装して詠いながら舞う白拍子で、その美しさから源義経の目に留まり、愛妾となった人物です。この花を命名した人は、葉を着物の袖に見立て、そこから顔を覗かせる静御前を連想したのでしょうか。でも、他にもっと美しい花はたくさんあるし、どちらかと言えば地味な花を静御前に見立てたという説はちょっと無理があるような気がします。

 同じセンリョウ科の仲間に「フタリシズカ」という花があります。こちらは4枚の葉から小さな花が2本伸びて咲くもので、静御前の亡霊が取り憑いた菜摘み女と、静御前の二人が踊るという能が名の由来です。フタリシズカが先に命名されて、それに対して花がひとつだったことから「ヒトリシズカ」と名付けられたのかもしれません。何にせよ、歴史上の人物名がつく花はそうないので想像力をかき立てられます。


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field-note 北の自然 ギョウジャニンニク

field-note 北の自然 ギョウジャニンニク
北海道民医連新聞2008年5月8日号より。791KB(01:41)


 北海道の代表的な山菜のひとつ、ギョウジャニンニク。自分で採りに行かないまでも、知り合いからいただいて毎年食べるという方も多いのではないでしょうか。ギョウジャニンニクという名前は、むかし山の中で修行をしていた行者(僧)が、栄養をつけるために食べたことと、匂いがニンニクに似ていることから名付けられたものです。他にも地方によってキトビロ、ヒトビロ、アイヌネギなど、いろいろな呼び名があります。

 北海道でこの山菜を一番古くから食べてきたのはアイヌ民族の方々でしょう。アイヌ民族は、この滋養豊かな山菜を風邪予防の健康野草として食べたり、火傷や打ち身、消毒の薬など、万能薬として珍重し、大切にしてきました。

 ギョウジャニンニクは成長がゆっくりしていて、地面に種がぽとりと落ちてから双葉が出るまでに、最低でも5年はかかります。そこから花が咲くまでには、さらに2年ほどかかると言われています。

 近年の自然ブームで、以前は近隣の野山で普通に採れていたものが、今では山奥まで行かなければ見つけられなくなってしまいました。とくに写真のような7〜8年ものは、なかなかお目にかかれません。アイヌ民族を見習って、採る量は春を楽しむ程度にしておきたいものです。
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2008年05月04日

Field-note北の自然 フキノトウ

Field-note北の自然 フキノトウ
北海道民医連新聞2008年4月24日号より。724KB(01:32)


 小鳥のさえずり、草花の芽吹き・・・一気に春が進みましたね。控えめに顔を覗かせていたフキノトウも、日の光をいっぱい浴びてずいぶん大きくなりました。ところで、フキノトウに雄花と雌花があるのはご存じでしたか? 黄色っぽくって、小さな星形の花がたくさん集まっているのは雄花、白っぽい毛のようなものが生えているのは雌花です。見た目で分かりづらければ触ってみれば一目瞭然。雄花はちょっとゴツゴツとした感じで、雌花はふんわりしています。

 この雄花と雌花の仲を取り持つキューピッドは、もっぱらハエやアブの仲間です。どちらも嫌われ者ですが、春の花にとっては無くてはならない大切な存在です。受粉した後、雌花はどんどん伸びてタンポポのような綿毛を飛ばす準備をしますが、役目を終えた雄花はそのまましぼんで枯れてしまいます。自然界では、雄はちょっぴり悲しい存在ですね。

 もうしばらくすると、葉柄部分のフキも出てきます。フキノトウを楽しんだ後においしいフキが出てくるとは、何てお得な植物なんでしょう! これからが楽しみです。
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2008年04月18日

Field-note北の自然 クジャクチョウ

北の自然 クジャクチョウ

北海道民医連新聞2008年4月10日号より。644KB(1:21)


 雪解けは進みましたが、野山はまだまだ枯葉色。生き物の気配もほとんどしない中、ひらり、ひらりと飛んでいるのはタテハチョウの仲間です。彼らは成虫の姿で冬越しをするため、誰よりも早く春を楽しむことができるのです。

 タテハチョウにはヒメアカタテハやルリタテハなどいろいろな仲間がいますが、中でも際だって美しいのが写真のクジャクチョウです。鮮やかな赤褐色をベースに、水色や黒色をあしらった目玉模様が4つ。まるでクジャクの飾り羽のようです。学名も「イオ・ゲイシャ」といい、「イオ」はギリシャ神話に登場する美しい女神、「ゲイシャ」はもちろん芸者からつけられたものです。

 まだ気温の低い時期なので、変温動物の彼らは体の温度を上げないと飛ぶことができません。石や枯葉の上で羽を開いてじっとしていたり、時にはブルブルと震えていることもありますが、これはいずれも体温を上げるためです。一日中自由に飛び回れる季節は、あともう少し先といったところでしょうか。


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2008年04月07日

Field-note北の自然 フクジュソウ

Field-note北の自然 フクジュソウ

北海道民医連新聞2008年03月27日号より。612KB(01:18)


 後半に大雪が降り、春遅しかと思いきや、あっという間に雪解けが進みましたね。雪が少なめの地域なら、そろそろフクジュソウが顔を出しているのではないでしょうか。春、真っ先に花開くフクジュソウは、アイヌの人たちの間では『チライ・アポッパ』と呼ばれていました。『チライ』は幻の魚と言われている、イトウのことで、『アポッパ』は花を意味します。ちょうどイトウが産卵のために川を上ってくる4月初旬頃に花開くことから、その名がつきました。その昔、フクジュソウの開花は、春を告げるとともに、イトウの猟期を人びとに知らせていたのです。

 さて、フクジュソウが芽を出す頃には、同じようにフキノトウも芽を出します。この二つ、土から顔を出したばかりの頃は少し似ているので注意が必要です。というのも、フクジュソウは有毒で、根を煎じたものを飲んで、死亡した例もあるほど。芽だけではなく、伸びてきた葉もセリやシャクと間違えやすいのでご注意を。
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2008年04月02日

Field-note北の自然 ヒヨドリ

北の自然 ヒヨドリ
北海道民医連新聞 2008年3月13日号より。760KB(01:37)


 行きつ戻りつ、春が近付いてきた感のある今日この頃。虫たちが地面から這い出すという啓蟄も過ぎましたが、北海道ではまだまだ起きる気配はありません。虫もいないし、野山の木の実も乏しくなってきたとなると、それらを餌にしている鳥たちにとっては、これからが本当のサバイバルなのかもしれません。

 我が家の横にある畑の隅っこには、ヌルデの木があって、毎年たわわに実をつけます。でも鳥たちには今一つ人気がないのか、秋になっても冬の最中になっても誰も見向きもしません。今頃になると、ようやくヒヨドリかツグミがやってきて、ついばみ始めます。「あんまりおいしくはないけど、お腹が空くからしょうがない」といったところなのでしょうか。ツグミはそろそろ北へ向けて渡りの準備を始めるでしょうが、ヒヨドリは生粋の地元っ子です。大好きな花粉を提供してくれるヤナギやサクラが芽吹き始めるまでは、もうしばらくの間、粗食で我慢するしかありません。粗食の後のご馳走は、きっと、とってもおいしいに違いありません!


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2008年03月31日

Field-note北の自然 オナガガモ

Field-note 北の自然 オナガガモ
北海道民医連新聞 2008年2月28日号より。627KB(01:20)


 オスのピンと長い尾羽が特徴的なオナガガモ。まるでタキシードでも着ているかのようにスタイリッシュです。彼らは北半球に広く暮らしていて、日本には冬越しのために渡ってきます。白鳥とは切っても切れない仲なのか、必ずと言っていいくらい一緒にいます。

 どちらも警戒心が薄く、人のくれる餌をあてにしているのが共通点です。カモの中ではマガモと並んで観察しやすいので、初心者には、うってつけの鳥と言えるでしょう。じっくり見ていると、これがなかなかおもしろいのです。逆立ちポーズで水中の餌を必死に捕ったり、並んでおしりを振って行進したり、こちらが手に餌を持っていると「早くちょうだいよ」とばかりに周りを取り囲まれてしまうことも。

 小さなカモとはいっても、数十羽から百羽を越す大群となると結構な迫力があります。もうすぐ繁殖シーズンに入るので、懸命にプロポーズするオスの姿なども見られると思いますよ。
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