2010年11月18日

あきらめないでよかった!

看護現場からの発信
勤医協もみじ台内科診療所看護スタッフ

Aさん (60歳代・女性) は15年前に境界型糖尿病の診断を受け、現在はU型糖尿病とC型肝炎で通院中です。

治療開始当初のHbA1Cは6%台でしたが、08年ごろから血糖コントロール不良状態が続き09年には11%台まで悪化したため、インスリン注射の導入や教育入院をすすめました。しかし、そのときは拒否されて入院には至りませんでした。

今年に入ってAさんから入院を希望され、同居する精神疾患を抱えた家族と留守中の調整も行い、2月上旬から入院となりました。しかし、入院中に、精神状態が不安定な家族から頻繁に連絡が入り、その都度家族のもとへ外出を繰り返すなど落ち着いて治療に専念できず、早期退院となりました。

退院後も高血糖状態が続いたためインスリン注射の導入を検討しましたが、Aさんは家族の暴力から避難し連絡がつかない状態が続きました。2週間後にAさんと連絡がつき、まずは血糖自己測定から指導を開始しました。

導入時に担当を決めて、毎回同じ看護師が関わることにしました。しかし、話がかみ合わないことが多く、Aさんにはインスリン導入は難しいのではないかとも考えていました。導入当初はキャップを外せない、電極を逆に差し込んでしまうなど、一つの動作に集中できず、手技の習得がなかなかすすみませんでした。ご本人からも「私、できるかしら」 という言葉が聞かれました。

繰り返し係わる中で、家族や経済面での悩みが心に浮かび、Aさんが動作に集中できていないことがわかりました。そこで、Aさんの悩みに寄り添いじっくりと話を聞き、できたことを一つひとつ確認しあいすすめることで手技が身につき、自宅でも測定できるようになりました。

自己注射も初めは消毒や針のつけ忘れがありました。「インスリンは毎日打たなきゃダメなものかしら」 という疑問も出されましたが一つひとつ丁寧に説明して、自己注射ができるようになりました。Aさんのインスリン導入までには多くの困難があり、スタッフも 「本当に出来るのだろうか」 という思いを持ちながらの指導でした。しかし、Aさんの思いや悩みをじっくり聞き、がんばりを支えながら集中力ややる気を引き出していったことが、インスリン導入につながったといえます。現在、Aさんは自己注射を継続して定期的に通院されています。

さまざまに困難な条件を持つ患者さんの療養継続のために、あきらめず粘り強く寄り添っていくことの大切さを改めて実感しました。今後の看護活動にこの経験を生かしていきたいと思います。(もみじ台内科診療所看護師 久野かや子)

(勤医協新聞 2010年9月11日号より)
posted by kin-ikyo at 06:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 看護現場からの発信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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