2010年11月15日

家に帰るって嬉しいよ

看護現場からの発信
中央病院回復期リハビリ病棟看護スタッフ

 Aさん (70歳代・男性) は、当院急性期病棟にて胆石の治療を終え、09年3月にリハビリと在宅調整目的で回復期リハビリ病棟へ来られました。

 当初は、寝たきりで会話もできない状態が多く、夜になると興奮して動きが活発になり、壁や布団へ排尿する行動も見られました。

 同居のご家族は高齢の妻だけであり、在宅介護は難しく施設入所を考えていました。しかし、ご家族としては可能であれば在宅で生活させたい思いも抱いていました。

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 私たちは、Aさんが飲んでいる睡眠薬が夜間の興奮に関係している可能性から毎日の服用をやめ、トイレの認識をつけるため日中はトイレヘ誘導するとりくみを始めました。しばらくして、排泄に関して尿意を感じても我慢できず排尿していることが分かってきました。

 排泄がすぐできるように、病室内でポータブルトイレや尿器を使い始めました。しばらくすると、職員の介助を嫌がり、自分で尿器を使おうとする行動が出てきました。

 この時期からトイレに行こうとする行動も見られ、ご家族からは、認知症があっても排泄や睡眠の状況が少しでも安定すれば在宅で介護したいという思いも出されました。

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 その後、午後から夜にかけてトイレの回数が増えているのは、加齢によって循環機能が低下していることが原因だと分かり、食後は1時間横になってもらい水分が多く含まれるお粥からご飯食へ変えることで、夜間よりも日中のトイレ回数が多くなっていきました。

 もともと、夜間トイレの回数が多く、規則正しい生活リズムではなかったと分かり、短時間でもぐつすり眠り、疲れが取れていれば、一般的な生活リズムでなくても良いのではと考えました。

 平均2時間程度の睡眠時間でしたが、夜中でも起きていたいときはスタッフと一緒に過ごし、起きたい時は起きていてもらうことにしました。

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 退院が近づいたころ、Aさんは 「トイレにも間に合うようになって良かった。自分の家に帰れるって嬉しいよ」 とお話しするようになりました。ご自分で尿器やトイレを使って生活リズムを取り戻し、在宅生活を目指せる状況になり、自宅へ退院することができました。

 今回の関わりは、認知症が原因で起こる行動だけでなく、もとの生活習慣を調べて尊重しながら関わる大切さを学ぶことができた事例でした。(中央病院回復期リハビリ病棟 看護師 鹿野 邦子)

(勤医協新聞2010年8月11日号より)
posted by kin-ikyo at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 看護現場からの発信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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