2010年05月01日

新刊紹介 ルポ貧困大国アメリカU 堤 未果 著

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これからの日本が見える

2008年のアメリカ大統領選挙は国民を熱狂させた。住宅ローンが払えずトレーラーハウスに住んでいる女性は「今日という日を待ち望んでいました。オバマなら必ずこの状況を変えてくれる」とまくし立てた。高すぎる医療費が払えず取り立て業者に脅されている男性は 「これ以上払わないと刑務所行きだというのです。オバマの公約の国民皆保険に期待します」と1票を投じた。

公的医療保険制度がないアメリカでは、国民は民間の保険会社に加入し高額な保険料を支払っている。無保険者は医療機関から診療拒否されるため、法的に診療を拒否できないERにかけこむ。そして病院は赤字が拡大し閉鎖に追い込まれていく。多額の学資ローンが払えず大学を追われる学生。大学を卒業しても仕事はなく、恐ろしく利息が高いローンだけが残る。刑務所でさえ経費は受益者(?)負担であり、受刑者は刑務所での高い食費と日用品代を稼ぐために低賃金労働を強要され、出所時には多額の借金を抱えている。教育も医療も刑務所などの更正施設もアメリカではすべてビジネスの対象であり、利益を生む商品なのだ。

「チェンジ」を掲げたオバマ大統領の政策も破綻していく。アメリカの医師は言う。「医療現場が奪われたものは、患者と医師とのつながりや、医師としての誇り、充実感です。…アメリカが今つきつけられているのは、本当はもっとずっと深い部分でのチェンジではないか」と。これからの日本が見える1冊だ。(高橋純子・函館稜北病院総師長)(岩波新書・720円+税)

(北海道民医連新聞2010年3月11日号より)
posted by kin-ikyo at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 新刊・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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