2010年03月09日

「普段どおり自然に」終末期のAさんと

看護現場からの発信
kuromatunai_clinic_staff.jpg

Aさん(80代・女性)は、町営住宅でご主人と2人暮らしでした。09年3月、除雪をしたら左腕が痛くなったと来院し、左上腕骨骨折と診断されました。

Aさんは、B病院で07年に大腸がんと診断され、肺転移・癌性疼痛もあり麻薬内服中で、告知もされていました。当院受診後、B病院整形を受診し、骨折は装具固定で経過をみることとなりました。当診療所では、看護師が介護サービスの紹介をして、4月より訪問看護ステーションの利用開始となりました。

Aさんは、夫と家で暮らしたいとの思いがありました。B病院へは通院困難なこともあり、当診で往診管理とし、今後は最大限、家族と協力しながら在宅で療養しようと職員とご家族で意思統一しました。

5月26日疼痛が増強、意識混濁・低酸素状態となり、在宅酸素を導入し連日点滴管理となりました。疼痛によりご家族でのおむつ交換が困難なため留置カテーテルとし、連日のステーションによる訪問者護で午前中点滴と保清など、午後は診療所看護師が点滴終了時におむつ点検などを行いつつ、適宜往診としました。

当初ご家族は、がんの終末期は病院でとの意向でした。しかし何度も診療所、訪問看護ステーション、ご家族で今後について相談するうちに、在宅での看取りを決断しました。

麻薬の調整が行われ疼痛コントロールがされ、意識清明となり酸素吸入も中止となりました。夫と近所の息子さん夫婦が交代で昼夜介護しました。お嫁さんは疾患を持ちながらも献身的に介護され、元気なころはあまり行き来していなかった息子さんもそばで見守ってくれるなど、いい家族関係ができてきました。Aさんも家でずっと暮らせる安心感のためか状態も安定し、好きなものを少しずつ口にし、会いたい方とお話しもできました。

7月中旬、ご家族と面談をもち、医師から 「たとえみなが寝ている夜間に旅立たれても、ご家族と一緒にいられAさんは幸せだと思います。普段どおり自然にかかわりましょう」と話されました。お嫁さんは「介護しながら最後の時の準備を少しずつできました。亡くなった後のお義父さんのことも考えられるようになりました」と落ち着いて話されました。

7月20日深夜、ご家族に見守られながらの旅立ちでした。ご家族は、痛みがなく幸せな最期だったと満足されていました。

私たちは終末期に出会い、短いかかわりでしたが、最後まで気丈なAさんらしい生き方に感銘を受けました。また、ご家族と寄り添う中で、自然な形で、まさに「畳の上で…」最期を迎えることの意味を実感しました。これからも、「最後は長年住み慣れた家でこの地域で」との願いに応えていきたいと思います。

(黒松内診療所 看護師 三本木美智恵)

(北海道民医連新聞 2010年2月25日号より)
posted by kin-ikyo at 19:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 看護現場からの発信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。