2009年12月23日

健康ウォッチ 乾燥性皮膚炎のはなし

勤医協札幌病院皮膚科科長 加藤優子

本格的な冬がやって来ました。暖房機器が手放せないこの時期は、外も部屋の中も空気が乾燥しているため、私たちの皮膚も乾燥しがちです。冬に起こるかゆみのほとんどが乾燥肌によるものですが、ちょっとした生活の工夫とお肌のお手入れで防ぐことができます。

■皮膚の潤いはどのように保たれているの?

皮膚では、汗腺から出る水分と皮脂腺から出る脂分が混ざった皮脂膜や、天然保湿因子…NMF (※1)が存在し、皮膚表面の角質層を覆って水分の蒸発を防いでいます。加えて皮膚の細胞自体がつくる脂分が細胞間脂質(※2) となり、水分を保つのに役立っています。ところが肌質や空気の乾燥など外部からの刺激で、これらの機能がうまく働かなくなると、皮膚の水分が蒸発してカサつきが起こります。

※1
天然保湿因子…NMF(Natural-Moisturizing-Factor) アミノ酸やミネラルなど、水となじみがよく、水分保持力を持った物質の総称。肌自身がつくりだす保湿成分です。
※2
細胞間脂質…角質層のまわりにある脂質。細胞同士を密着させ角質層の水分保持を行います。セラミドと呼ばれています。

健康な肌とバリア機能が低下した肌

■季節や年齢によるお肌の変化は?

皮膚の水分量は、気温が低下し空気が乾燥する1〜2月に最も少なくなり、皮脂量も秋から冬にかけて急激に減少します。

乾燥した皮膚は、角質層がけば立ち、外部からの刺激を受けやすくなります。さらに高齢になると、皮膚の新陳代謝の働きが衰え、皮脂の分泌量も減ってきます。そのため一層の乾燥が進み、かゆみや湿疹が出ることがあります。

また女性の場合、20歳代後半〜30歳代にかけて、脂性肌から乾燥肌へ肌質が変わることが多く、若い頃と同じケアを続けていると、トラブルが起こりやすくなります。

■乾燥肌の予防と治療は?

スキンケアで一番大切なのは、入浴方法と保湿剤の使い方です。熱いお湯や長湯は皮膚の温度が上がり過ぎて、かゆみが増しますので控えましょう。

体を洗うときはナイロンタオルなどでゴシゴシ洗うと、角質層が剥がれ落ちて乾燥が進みます。石鹸などを良く泡立てて (市販されている泡立て用ネットを使う方法もあります)、手で直接なで洗いしましょう。

手が届きにくいところは、柔らかなタオルでそっと洗います。石鹸やシャンプーは、出来れば弱酸性の低刺激なものを使うと良いでしょう。

■乾燥肌を防ぐ生活の工夫

@室内の乾燥に注意する。加湿器を置くなどの工夫をしましょう(濡れたタオルなどを干すことも有効です)。

Aこたつや電気毛布を長時間使用しないようにしましょう。

B刺激物や香辛料、古い食用油(過酸化脂質)によってかゆみが増すことがあるので注意しましょう。

C肌に直接触れる衣類は木綿など刺激の少ない素材を選びましょう。

D衣類を洗濯するときは、洗剤分が残らないようよくすすぎましょう。

E睡眠を十分にとるようにしましょう。

Fたばこは吸い過ぎないようにしましょう。

Gストレス・過労を避けるようにしましょう。

この8つのことを日常生活で工夫すると乾燥肌を防ぐことができます。

保湿剤は汗や汚れを落としてから使用してください。特に入浴直後は角質層が十分うるおっているので、水分を逃さない効果が加わり、お勧めです。すり込まずに薄くのばして塗りましょう。

■乾燥肌を放っておくとどうなるの?

皮膚の乾燥を放置すると、コジワやくすみなど皮膚老化の原因になったり、湿疹のあとがシミになって残ることもあります。

皮膚の乾燥が進行すると、かゆみが非常に強くなります。かゆみを我慢できずにかいてしまうと、皮膚表面の皮脂膜や角質層がはがれ、外部からの刺激を受けやすくなってしまう可能性があります。そのような場合は、早めに皮膚科の受診をおすすめします。

皮膚科では保湿剤の他に、湿疹などの強い炎症を鎮めるステロイド外用薬や、強いかゆみを抑える抗ヒスタミン内服薬などを処方することが多いです。医師とよく相談して、薬は正しく使うことが大切です。

(北海道勤医協友の会新聞2009年12月1日号より)
posted by kin-ikyo at 14:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康ウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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