2009年08月14日

外来でも患者さんに寄り添って

看護現場からの発信
勤医協伏古10条クリニック看護スタッフ

Aさん (50代・男性) は検診で胃がんが見つかった時には、すでに肝臓に転移があり、手術もできない状態でした。放射線療法や化学療法が開始され、この3年間は入退院を繰り返しながら治療を続けてきました。

2007年Aさんが外来で化学療法を始めた当初は、表情も暗く、質問にも 「変わりない」 と答えるだけで、自分から語ることは少ない患者さんでした。カンファレンスでは化学療法の副作用の観察と苦痛症状の緩和、来院時には話をよく聞くことを確認し、チームで意識的にかかわってきました。やがて、これまで視線もほとんど合わせてくれなかったAさんが、化学療法の辛さや病気の見通しがもてずに気分が落ち込んでしまうことなどを少しずつ話してくれるようになってきました。Aさんが一番心を開いていた看護師をプライマリーナースに決め、中心的にかかわるようにしました。患者参加型看護計画にも取り組み 「苦痛なく外来での化学療法が継続できる」を目標に、具体的な計画を開示し、評価もともに行っていきました。Aさんは 「自分のためにここまで考えてくれて、とても嬉しい」と、表情や言動にも変化が現れ、治療にも前向きになっていきました。

来院時には、プライマリートースが副作用症状を細かく観察し、医師との連携で内服薬の調整を行うなど苦痛緩和を図り、表情が暗い時には時期を逃がさず話を聞くようにしました。また経済的負担軽減のために事務と連携し、障害年金の申請を行いました。

Aさんはしだいに病気のことだけではなく、30代で会社を興し、家族のために必死に働いてきたこと、娘の影響で50歳になってからバイクの免許を取得しツーリングが楽しみだったことなどを語り、病気のためにバイクを手放した今もヘルメットとライダースーツだけは大切にとってあると、ライダー姿の写真を照れながら見せてくれました。面談の中でAさんは、プライマリーナースの存在が安心感につながったこと、外来看護師がいつも温かく声をかけてくれたことが何より自分の自然治癒力になっていると話してくれました。

10条クリニックでは、この2年間で76例の患者さんにプライマリーナースを決め、患者参加型看護計画にも取り組んできました。在院日数の短縮にともない、以前ならまだ入院していたような重症患者さんや、仕事や生活の厳しさから治療継続に困難をきたしている患者さんも増えており、外来看護師に求められる役割はますます大きくなっています。患者さんとかかわる時間を十分に持つことのできない外来ですが、生活している人として患者さんを理解しその人生に寄り添いながら、少しでも安心して療養していただけるようとりくんでいきたいと思います。(伏古10条クリニック 看護師 宮田美和子)

(勤医協新聞2009年8月11日号より)
posted by kin-ikyo at 15:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 看護現場からの発信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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