2009年08月03日

104歳の誕生日を自宅で

看護現場からの発信
看護現場からの発信 104歳の誕生日を自宅で

病棟で一番の長寿だったAさん (女性・104歳)は、2003年に腰椎圧迫骨折後のリハビリテーション目的で、私たちの病棟に入院しました。いつも笑顔で「ありがとう」と、手を合わせ感謝の言葉を口にしてくれます。喘息発作や肺炎を繰り返すため外出や外泊がほとんどできず、長期の入院となっていたAさんは、徐々に全身状態が悪化し、食事も十分にとれない状況になっていました。

私たちは、Aさんが今後、どのように過ごしていくのが良いかを、家族と何度も話し合いました。「苦痛を与えたくない」という家族の希望を尊重し、積極的な治療は行わず、自然に経過を見ていくことにしました。栄養は、調子の良い時に口にする少しの食事と、水分を補う程度の点滴です。時々は、目を開けて話すこともありましたが、徐々に寝て過ごす時間が多くなりました。

Aさんの様子を見ているうちに、家族は 「ひと口でもいいから、口から食べてほしい」「覚悟はあるけど、あきらめたくない」と涙ながらに話されました。「2月11日の104歳の誕生日を迎えさせてあげたい」という家族の気持ちを知り、病棟で 「長寿を祝う会」を開きました。さらにその想いに応えようと、「自宅での誕生日」という目標を家族と共有。患者参加型看護計画にとりくみ、外出の準備を進めました。同時に、誕生日を安心して過ごすための移動介助や、オムツ交換の方法などを、家族に指導しました。誕生日前日となった外出日に、プライマリーの新人看護師から 「風邪をひかないでね」とピンクの手作りマフラーがプレゼントされ、Aさんと家族、スタッフみんなで記念撮影をしました。普段、寝て過ごすことの多いAさんですが、スッキリと目を開けて笑顔で出発しました。

自宅では、赤飯やケーキでお祝いをしたそうです。Aさんは、お話をしたり愛猫に触れたりして過ごし、家族は「笑顔が見られたし、家に帰ることができてよかった。また外出させたいと思う」と話されました。

今年の3月、Aさんは静かに眠るように永眠されました。私たちは、Aさんの喜ぶ顔が見られたことと、家族の想いに応えて自宅への外出を実現できたことに、よろこびと看護のやりがいを感じています。今、病棟では、プライマリー看護師を中心に、患者参加型看護計画の取り組みを進めています。これからも、患者さん・家族に寄り添い、その人らしい生き方を援助していきたいと思います。

 勤医協西区病院2病棟 看護師  黒澤理穂

(勤医協新聞 2009年7月11日号より)
posted by kin-ikyo at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 看護現場からの発信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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