2009年03月05日

健康ウォッチ 胃・十二指腸潰瘍とピロリ菌

胃・十二指腸潰瘍とピロリ菌

●「ピロリ菌」と病気の関係

 最近、新聞やテレビなどで胃・十二指腸潰瘍の原因として、ヘリコバクター・ピロリ菌(下写真)が取り上げられています。

 100年以上前から人を含め、胃に細菌が存在することがいわれてきましたが詳細は不明でした。1983年にオーストラリアのウォレンとマーシャル (後にノーベル賞受賞) が慢性胃炎の胃粘膜から分離培養に成功し、この発見でピロリ菌の研究が進みました。

 今ではピロリ菌は、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、ある種の胃リンパ腫、慢性胃炎、急性胃炎など様々な消化管の病気の原因となることが証明されています。

ヘリコバクター・ピロリ

●感染率と原因

 胃・十二指腸潰瘍のうち、50〜90%がピロリ菌感染と言われ、感染した胃からの胃がん発生率も0.5%と言われています。日本でのピロリ菌感染率は50歳代以上で約80%ぐらい、30歳代以下は約30%です。

 ピロリ菌は人から人へ経口感染するため、戦後の不衛生状態で感染が拡がり、上下水道の完備によって感染率が低下してきたと推定されています。また初感染が乳児期の場合、症状が何もないまま推移すると言われています。免疫が形成されてから感染すると急性胃炎を発症します。

●診断と除菌方法

 ピロリ菌の診断方法は、血液検査、糞便・尿検査、尿素呼気試験(空腹時に検査薬を内服して呼気を検査する方法)などがあります。ピロリ菌の除菌治療は、2剤の抗生物質とPPI (潰瘍の薬) を1週間内服することで約90%が除菌できます(2回する場合もあります)。 したがって現在では胃・十二指腸潰瘍は長期に通院が必要な疾患ではなくなり、内服不要な治癒する疾患となりました。
 
 再発率(再感染率)は5%と言われています。(※消化性潰瘍にはピロリ菌の他消炎鎮痛剤・ステロイドホルモンなど薬剤が関係するものがあり、これを除いての率です)

 治療の副作用は、味覚異常・下痢・口内炎などがあります。抗生物質による出血性大腸炎もありますが、整腸剤の内服でかなり予防できます。

●胃がん予防にも

 現在ピロリ菌がこれほど話題になるのは、日本において最も多い胃がんにピロリ菌が深くかかわっているからです。日本のピロリ菌は世界の中で最悪と言われています。

 今年開催された日本ヘリコバクター学会から新指針が発表されました。それによるとピロリ菌がいる人は全員薬で除菌することを勧めるというものです。北海道大学浅香正博教授らは除菌すれば胃がんの発生率は3分の1に減少すると英医学誌に発表しています。

 しかし、除菌の保険適応は胃・十二指腸潰瘍しか認められていないため、胃がん予防のための治療は今のところ自費診療となります。学会では保険適応の拡大を厚生労働省に要望しています。

 ピロリ菌感染について心配な方は、診断・治療について内科(消化器専門医)を受診しご相談ください。

(北海道勤医協友の会新聞2009年3月1日号より)

posted by kin-ikyo at 15:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康ウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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