2008年11月29日

認知症の方と家族を支えて

看護現場からの発信
札病内科外来で患者さんの話を聞く看護師
勤医協新聞2008年11月11日号より。

 札幌病院第一外来は、内科・内視鏡・放射線などの検査部門も担当しています。無料・低額診療のワッペンは、外来の職員全員が着けています。

 今年度は、特に不況の影響からかホームレスの方や生活保護申請のための受診が相次ぎました。所持金がなく10日前に食べたお菓子のかけらが最後の食事で、餓死寸前で発見され搬送された事例もありました。このように生活に困難を抱える患者さん、独居の高齢者、アルコール依存症の患者さんも少なくありません。

◇ ◇
 第1・第3土曜日は朝8時から外来が賑やかになります。「高齢者いきいき外来」 の日です。

 Aさん (80代女性)は今年2月に、「体がだるく一日中寝てばかりいる。物忘れが激しくなった」と受診し、軽度のアルツハイマー型認知症と診断されました。包括支援センターを通じて調整し、3月末から介護サービスの利用を開始しました。

 4月下旬には、一日中大声で叫び続けるなど認知症の周辺症状が強く現れ、外来受診となりました。Aさんは入院を拒否し、デイサービスを数回利用した事を 「私を物のようにあっちこっちにやって」 と不満気に語り、疲れ果てた娘さんは話していてもすぐ涙が流れる状況でした。そこで、私たちは娘さんの辛さを共有し、在宅でサービスを導入しながら生活していくことがAさんにとって一・番良い方法と考えました。医師よりデイサービスの継続をAさんに勧めてもらうよう事前に打ち合わせ、翌日の受診時には、娘さんに対して、Aさんの見ている前で 「きちんとデイサービスに行かせること、今のままにしていたら寝たきりになる」 と強い口調で話してもらいました。

 5月の連休明けに受診したAさんは、「昨年植えたチューリップを見に行きたい。健康が一番ですね」と語り、「母の口からそんな言葉が聞けるなんて」 と娘さんはうれし涙を流して喜んでいました。娘さんには 「認知症の理解と介護」の資料を差し上げました。身近な家族であるほど親の認知症が受け入れられず、周辺症状に振り回されてしまいます。これは、誰もが経験するかもしれない事例です。

 「いきいき外来」では、認知症にアロマテラピーが有効とのことで、レモングラスの香を時々焚くなどの工夫もしています。

 今後も、外来に来ている時の患者さんだけではなく、在宅でも困ったことがないか、心配なことがないかなど深く見ようと心がけていきたいと思います。 (看護師・樋浦輝子)
タグ:認知症
posted by kin-ikyo at 21:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 看護現場からの発信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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