2008年08月04日

看護現場からの発信 舌がんターミナルの患者さんを在宅へ

看護現場からの発信
看護現場からの発信 舌がんターミナルの患者さんを在宅へ
勤医協新聞2008年7月11日号より。1.57MB(03:27)


 中央病院4東病棟は、整形外科・耳鼻科の急性期病棟です。患者さんの多くは手術を目的として入院してきます。

 整形疾患の回復期の患者さんが大半ですが、耳鼻科疾患でがんの末期を迎える患者さんが同じ部屋で療養しており、急性期病棟であっても、終末期を生きる患者さんが苦痛なく過ごせるよう、患者さんやご家族の願いに寄り沿った看護を目指すことが求められています。


 Tさん(80代=女性)は末期の舌癌の患者さんです。

 外来受診した時点ではすでにがんが口腔内を圧迫し手術の適応がない状態でした。「余命数ヶ月」との診断でした。

 食欲の低下・激しい痛みを訴えるTさんは、栄養改善と疼痛コントロールの目的で入院してきました。痛みが強まると、そのつらさを看護師にぶつけるようになり、「死にたい」ともらすこともありました。

 医師とのカンファレンスでは「まず、痛みをとること」を第一目標に置き、緩和ケアチームの力を借りて、投薬の量を調整するなど疼痛のコントロールを行っていきました。痛みのつらさが和らいだTさんは、表情も穏やかになり、冗談を交えた会話も聞かれるまでになりました。

 家事が得意でしっかりした性格のTさんは詰め所に来て私たちの手伝いをしたり、車椅子での移動もスムーズにできるようになりました。痛みをコントロールすることでその人らしさを取り戻せると改めて実感しました。栄養については、経口摂取が困難なため中心静脈栄養(IVH)を開始し、医師からも「病態は安定しているので、この機会を逃すと自宅へ戻るのが難しくなる」ことをご家族に説明。

 ご家族は「残された期間が短いのであれば、住み慣れた家で本人の好きなようにぎりぎりまで過ごさせてあげたい」と在宅での療養を決意されました。

 その後、ソーシャルワーカーと連携し、ターミナルケアの往診とIVHのポンプ管理が可能な診療所を探しました。退院に向けた療養指導やカンファレンスなどを行い、Tさんは笑顔で退院されました。

 数週間後、Tさんは亡くなりましたが、ご家族は「住み慣れた自宅で過ごせる時間が持ててよかった。心配なく帰れました」と話されました。在宅での主体者は患者さん本人であり、患者さん家族が安心して過ごせる体制をいかにサポートし、地域と連携をしていくかが重要と学ぶことができました。今後も患者さんの願いに沿った看護、生きることを支える看護をスタッフ全員で追求していきたいと思っています。(大方葉子)


posted by kin-ikyo at 13:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 看護現場からの発信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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