2010年11月26日

健康ウォッチ インフルエンザは早めに予防を

勤医協中央病院副院長 高桑良平 医師

インフルエンザは、突然現れる高熱、頭痛、関節痛など全身の症状が強いのが特徴で、肺炎などを併発し重症になることがあります。特に高齢で呼吸器などに慢性の病気をお持ちの方には十分な注意が必要です。今回、中央病院の高桑良平副院長に今年のインフルエンザの動向と予防などについて聞きました。

■また流行の季節が

昨年は春に新型インフルエンザが発生し、夏場も流行し、ワクチンが不足して秋から冬にかけても大忙しでした。行政の対応も遅れ気味で、それに病院が振り回されるように対応に追われる1年でした。それに引き替え、今年の夏はインフルエンザ騒動もなく、穏やかに過ごすことができました。

WHO (世界保健機構)は昨年の春から、新型インフルエンザを 「国際的に重要な公衆衛生上の事例」 として「パンデミック(汎発流行または世界流行)」という言葉を使用していましたが、今年の8月10日にそれを解除しました。はっとしたのもつかの間、暑かった夏が終わり、また、インフルエンザの季節がやってまいりました。

■今年の流行型は

さて、今年のインフルエンザは、昨年流行した新型インフルエンザ(H1N1)とA香港型(H3N2) とB型の流行が予想されています。新型インフルエンザは、昨年感染しなかった人も多数いるため、流行する可能性はまだまだ高いと予想されています。

■ワクチン接種について

勤医協の病院や診療所では、10月1日から今年もインフルエンザワクチンの接種を行っております。今年のワクチンは昨年のように2種類を打つ必要はなく1種類で済みます。数量も十分な量が製造されており、希望者にはお待たせすることなく接種することが可能です。

1歳未満では接種しても十分な免疫が得られない可能性が高いので対象にはなっていません。1歳以上のすべての人がインフルエンザワクチンを接種することが推奨されます。ただし、ワクチンは、感染や発病を完全に押さえるものではなく、重症化の予防です。65歳以上の接種に補助をしている自治体もありますので、最寄の医療機関などで確認して下さい。

持病のある方や、高齢の方は肺炎球菌ワクチンの接種も推奨されています。

■感染予防について

予防の基本は、例年と同じです。睡眠や栄養などに注意して体力を維持することです。

マスクの着用も重要です。昨年は、町中でもマスクを着用した人を多数見かけました、私は、そのことが、感染をずいぶん減らしたのではないかと考えます。手洗いも重要ですが、手ぬぐいの共用では感染することもあるので注意が必要です。うがいはあまり重要とは思いませんが、無駄ともいえません。ただし、うがいのコップの共用は危険です。

数十年に一度のパンデミックの翌年ということもあり、今シーズンのインフルエンザが、どのような流行となるのか、実際のところは予想が難しいと思います。

早めにワクチンを受けて、もし感染を疑ったら、マスクや手洗いを励行しながら、病院に相談することをおすすめします。

手の洗い方

(北海道勤医協友の会新聞2010年11月1日号より)
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2010年11月23日

健康ウォッチ 安全で効果的な温泉の入り方

(株)勤医協在宅 勤医協東在宅総合センター長 室田ちひろ看護師

秋も深まり、温泉が心地良い季節になりました。各地の友の会では「湯けむりツアー」や「観楓会」など、温泉に入る行事が予定されています。みなさんが楽しみにして入る「温泉」です。気持ちよく安全に入ることができるようにしたいものです。今回、温泉の入り方で注意することをお知らせします。

■持病がある方は

私自身、貧血・低血圧なので長湯をすると、すぐのぼせ、湯あたりしてしまうため、自分自身で注意している点も含めてお伝えしたいと思います。心臓や肺の弱い方、高血圧の方、高齢者の方は、特に注意して温泉に入りましょう。

■焦らずゆっくりと

浴槽に入る前はお湯の温度に身体を慣らすために、かけ湯をしましょう。足から腰、肩、胸の順でかけて体を慣らしていきます。これを行うと急激に血圧が上がるのを防ぐことができます。

首までしっかり入るのは、心臓の負担が大きくなり、また水圧で肺の容量も少なくなります。みずおちあたりまでお揚につかる半身浴で、ゆっくりのんびりとした入浴にできます。浴槽の縁に頭を乗せて体を浮かせて横たわるのも、水圧の影響をあまり受けずリラックスして入ることができます。

入浴する時間は額に汗がにじむくらいのほどほどの時間が良いでしょう。汗が流れ出るほどの長湯は危険です。額に汗がにじんできたら、浴槽のふちに腰をかけて足だけを湯につける、または洗い場で一休みするなど、休憩をとりましょう。

■水分補給と休憩を

一度の入浴で浴槽に入るのは2〜3回にとどめましょう。5回以上入ると、湯あたりする発生率が急激に増加すると言われています。2度目以降の入浴のときには筋肉や関節がやわらかくなっているので、お湯の中で筋肉や手足の関節を十分動かしましょう。

入浴後は、シャワーを浴びてしまうと薬効成分が流されてしまうので、タオルで体を軽く拭くようにすると温熱効果も持続します。お茶やスポーツドリンクなどを飲み、水分をしっかり補給しましょう。

入浴はエネルギーをとても消費し、血圧も変動するので、体調が安定するまで少なくとも30分以上は休憩をとりましょう。


■飲酒・食事直後は×

お酒を飲んだら入浴は絶対にやめましょう。温泉に限らず、お酒を飲んだら入浴をしてはいけません。

お酒も入浴も、ともに血管を拡張させ血液の循環をよくする働きがあり、血液は大量に皮膚表面へ移動して脳の血流が減少し、脳貧血を起こしやすくします。心拍数も増加させ心臓発作を起こしてしまう危険性があります。

入浴しながらの飲酒はもってのほかです。さらに転倒の危険性が増し、溺死の危険性もあります。

食事直後の入浴もさけましょう。入浴すると血流が促進され、毛細血管にまで血液がめぐります。これにより、食後本来は胃や腸に流れるはずの血液が減ってしまい、消化・吸収が低下してしまいます。

また、お湯の圧力が胃を押し上げるので、食物が胃から腸に移動しにくくなります。食後は30分から1時間の休息をとり、ぬるめの湯に入ることをおすすめします。できましたら食前に入浴しましょう。

■転倒などに注意

温泉施設の浴室は、スペースも広く温泉成分で床が滑りやすく、転倒しやすい環境にあります。

また、何らかのはずみで浴槽内でおぼれてしまうこともないわけではありません。持病がある方や高齢の方になれば、急激な体調の変化も考えられます。

できればおひとりでの入浴は避け、なにかあってもすぐに対応できるようにしておくことをおすすめします。

温泉の入り方のチェックポイント
1.まずは、かけ湯をしよう
2.入浴する時間はほどほどに
3.一度の入浴で浴槽に入るのは2〜3回にしよう
4.薬効成分を落とさないよう、入浴後は体をタオルで軽く拭くだけに
5.入浴前後には水分補給を
6.飲酒後は絶対入浴しない
7.食事直後の入浴はさけよう
8.転倒に気をつけ、できれば一人だけでの入浴はさけよう


(北海道勤医協友の会新聞2010年10月1日号より)

温泉の入り方のチェックポイント
1.まずは、かけ湯をしよう
2.入浴する時間はほどほどに
3.一度の入浴で浴槽に入るのは2〜3回にしよう
4.薬効成分を落とさないよう、入浴後は体をタオルで軽く拭くだけに
5.入浴前後には水分補給を
6.飲酒後は絶対入浴しない
7.食事直後の入浴はさけよう
8.転倒に気をつけ、できれば一人だけでの入浴はさけよう

タグ:温泉 入浴
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2010年11月18日

あきらめないでよかった!

看護現場からの発信
勤医協もみじ台内科診療所看護スタッフ

Aさん (60歳代・女性) は15年前に境界型糖尿病の診断を受け、現在はU型糖尿病とC型肝炎で通院中です。

治療開始当初のHbA1Cは6%台でしたが、08年ごろから血糖コントロール不良状態が続き09年には11%台まで悪化したため、インスリン注射の導入や教育入院をすすめました。しかし、そのときは拒否されて入院には至りませんでした。

今年に入ってAさんから入院を希望され、同居する精神疾患を抱えた家族と留守中の調整も行い、2月上旬から入院となりました。しかし、入院中に、精神状態が不安定な家族から頻繁に連絡が入り、その都度家族のもとへ外出を繰り返すなど落ち着いて治療に専念できず、早期退院となりました。

退院後も高血糖状態が続いたためインスリン注射の導入を検討しましたが、Aさんは家族の暴力から避難し連絡がつかない状態が続きました。2週間後にAさんと連絡がつき、まずは血糖自己測定から指導を開始しました。

導入時に担当を決めて、毎回同じ看護師が関わることにしました。しかし、話がかみ合わないことが多く、Aさんにはインスリン導入は難しいのではないかとも考えていました。導入当初はキャップを外せない、電極を逆に差し込んでしまうなど、一つの動作に集中できず、手技の習得がなかなかすすみませんでした。ご本人からも「私、できるかしら」 という言葉が聞かれました。

繰り返し係わる中で、家族や経済面での悩みが心に浮かび、Aさんが動作に集中できていないことがわかりました。そこで、Aさんの悩みに寄り添いじっくりと話を聞き、できたことを一つひとつ確認しあいすすめることで手技が身につき、自宅でも測定できるようになりました。

自己注射も初めは消毒や針のつけ忘れがありました。「インスリンは毎日打たなきゃダメなものかしら」 という疑問も出されましたが一つひとつ丁寧に説明して、自己注射ができるようになりました。Aさんのインスリン導入までには多くの困難があり、スタッフも 「本当に出来るのだろうか」 という思いを持ちながらの指導でした。しかし、Aさんの思いや悩みをじっくり聞き、がんばりを支えながら集中力ややる気を引き出していったことが、インスリン導入につながったといえます。現在、Aさんは自己注射を継続して定期的に通院されています。

さまざまに困難な条件を持つ患者さんの療養継続のために、あきらめず粘り強く寄り添っていくことの大切さを改めて実感しました。今後の看護活動にこの経験を生かしていきたいと思います。(もみじ台内科診療所看護師 久野かや子)

(勤医協新聞 2010年9月11日号より)
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2010年11月15日

家に帰るって嬉しいよ

看護現場からの発信
中央病院回復期リハビリ病棟看護スタッフ

 Aさん (70歳代・男性) は、当院急性期病棟にて胆石の治療を終え、09年3月にリハビリと在宅調整目的で回復期リハビリ病棟へ来られました。

 当初は、寝たきりで会話もできない状態が多く、夜になると興奮して動きが活発になり、壁や布団へ排尿する行動も見られました。

 同居のご家族は高齢の妻だけであり、在宅介護は難しく施設入所を考えていました。しかし、ご家族としては可能であれば在宅で生活させたい思いも抱いていました。

+ + +

 私たちは、Aさんが飲んでいる睡眠薬が夜間の興奮に関係している可能性から毎日の服用をやめ、トイレの認識をつけるため日中はトイレヘ誘導するとりくみを始めました。しばらくして、排泄に関して尿意を感じても我慢できず排尿していることが分かってきました。

 排泄がすぐできるように、病室内でポータブルトイレや尿器を使い始めました。しばらくすると、職員の介助を嫌がり、自分で尿器を使おうとする行動が出てきました。

 この時期からトイレに行こうとする行動も見られ、ご家族からは、認知症があっても排泄や睡眠の状況が少しでも安定すれば在宅で介護したいという思いも出されました。

+ + +

 その後、午後から夜にかけてトイレの回数が増えているのは、加齢によって循環機能が低下していることが原因だと分かり、食後は1時間横になってもらい水分が多く含まれるお粥からご飯食へ変えることで、夜間よりも日中のトイレ回数が多くなっていきました。

 もともと、夜間トイレの回数が多く、規則正しい生活リズムではなかったと分かり、短時間でもぐつすり眠り、疲れが取れていれば、一般的な生活リズムでなくても良いのではと考えました。

 平均2時間程度の睡眠時間でしたが、夜中でも起きていたいときはスタッフと一緒に過ごし、起きたい時は起きていてもらうことにしました。

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 退院が近づいたころ、Aさんは 「トイレにも間に合うようになって良かった。自分の家に帰れるって嬉しいよ」 とお話しするようになりました。ご自分で尿器やトイレを使って生活リズムを取り戻し、在宅生活を目指せる状況になり、自宅へ退院することができました。

 今回の関わりは、認知症が原因で起こる行動だけでなく、もとの生活習慣を調べて尊重しながら関わる大切さを学ぶことができた事例でした。(中央病院回復期リハビリ病棟 看護師 鹿野 邦子)

(勤医協新聞2010年8月11日号より)
posted by kin-ikyo at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 看護現場からの発信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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