2010年12月07日

健康ウォッチ 本当に大丈夫?そのサプリメント

勤医協中央病院 薬剤部 清水美由希 薬剤師

サプリメントとは、不足しがちなビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養補給を補助することや、ハーブなどの成分による薬効の発揮が目的である食品です。ほかにも生薬、酵素、ダイエット食品など様ざまな種類があります。世の中が健康志向であり、スーパーなどで簡単・気軽に購入できるサプリメントを利用する人が増えています。

■サプリメントと薬の違い

薬は病気を治療するためのものなので、効果を重視して作られています。そのため、効果があるかどうか(有効性)、安全であるかどうか (安全性) など、きちんとチェックされ、国から認可されています。

一方、サプリメントは健康の維持や増進のために利用される食品であり、形は薬に似ているものもあります。

しかし、あくまでも「食品」 なので、病気を治すことを期待してはいけません。薬のように有効性や安全性などのデータがきちんとそろっていないものがほとんどです。

■サプリメントによる健康被害

サプリメントには副作用がないように思われがちですが、「クスリじゃなく自然食品だからカラダに良い」 と気軽な気持ちで摂取したため、健康被害がでているものも多くあります。

健康被害の原因は、サプリメント自体が原因の場合や、身体に合わない、また用法用量を守らずに過剰摂取してしまったなど様ざまです。「天然の有効成分のみを抽出した自然食品」などと宣伝されているものもありますが、抽出したことにより濃度が濃くなり、大量摂取することとなり健康を害する可能性もあります。

テレビコマーシャルや通信販売などで語られる体験談などの情報を鵜呑みにすることはとても危険です。紹介されたサプリメントによる健康被害(下記) は、いろいろと報告されています。ある中国製のダイエット目的のサプリメントには食欲抑制薬や、日本では未承認の肥満治療薬が入っていたために、めまい、嘔吐、下痢、腹痛、動悸などの被害が相次ぎ、死亡者もでました。

■薬を服用している人は要注意

サプリメントと服用している薬が合わない場合があります。サプリメントや食品により、薬の作用が強まったり弱まったりすること (相互作用)があるからです。

例えば、ワーファリン(血栓ができないようにする薬) を飲んでいる人は、クロレラや、青汁、納豆を絶対に摂ることはできません。その理由は、これらを摂取することでワーファリンの作用を弱めてしまい、血栓ができやすくなるためです。

サプリメントは上手に活用すれば栄養を補うことができますが、健康被害や相互作用を起こすものもあります。サプリメントを使用する際はかかりつけの医師・薬剤師に相談することをおすすめします。


★ 代表的なサプリメントによる健康被害の報告例 ★

◎ウコン(肝臓の機能を高めるといわれている)
・肝機能障害、黄疸、肝不全が報告されています。日本で発生した健康食品による肝障害の原因の4分の1を占めるといわれています。

◎クロレラ(免疫力を高める、コレステロール・糖質の吸収を抑えるといわれている)
・日光過敏症、吐き気、下痢、腹部膨満感などの消化器症状(クロレラの細胞壁は厚いため吸収されにくい)が報告されています。

◎プロポリス(ミツバチが巣を殺菌、修理、防御するため植物の樹液と唾液などの分泌物を混ぜた蜂ヤニで、がんに効く、抗菌作用があるといわれている)
・皮膚炎、肝障害が報告されています。

(北海道勤医協友の会新聞 2010年12月1日号より)
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2010年11月26日

健康ウォッチ インフルエンザは早めに予防を

勤医協中央病院副院長 高桑良平 医師

インフルエンザは、突然現れる高熱、頭痛、関節痛など全身の症状が強いのが特徴で、肺炎などを併発し重症になることがあります。特に高齢で呼吸器などに慢性の病気をお持ちの方には十分な注意が必要です。今回、中央病院の高桑良平副院長に今年のインフルエンザの動向と予防などについて聞きました。

■また流行の季節が

昨年は春に新型インフルエンザが発生し、夏場も流行し、ワクチンが不足して秋から冬にかけても大忙しでした。行政の対応も遅れ気味で、それに病院が振り回されるように対応に追われる1年でした。それに引き替え、今年の夏はインフルエンザ騒動もなく、穏やかに過ごすことができました。

WHO (世界保健機構)は昨年の春から、新型インフルエンザを 「国際的に重要な公衆衛生上の事例」 として「パンデミック(汎発流行または世界流行)」という言葉を使用していましたが、今年の8月10日にそれを解除しました。はっとしたのもつかの間、暑かった夏が終わり、また、インフルエンザの季節がやってまいりました。

■今年の流行型は

さて、今年のインフルエンザは、昨年流行した新型インフルエンザ(H1N1)とA香港型(H3N2) とB型の流行が予想されています。新型インフルエンザは、昨年感染しなかった人も多数いるため、流行する可能性はまだまだ高いと予想されています。

■ワクチン接種について

勤医協の病院や診療所では、10月1日から今年もインフルエンザワクチンの接種を行っております。今年のワクチンは昨年のように2種類を打つ必要はなく1種類で済みます。数量も十分な量が製造されており、希望者にはお待たせすることなく接種することが可能です。

1歳未満では接種しても十分な免疫が得られない可能性が高いので対象にはなっていません。1歳以上のすべての人がインフルエンザワクチンを接種することが推奨されます。ただし、ワクチンは、感染や発病を完全に押さえるものではなく、重症化の予防です。65歳以上の接種に補助をしている自治体もありますので、最寄の医療機関などで確認して下さい。

持病のある方や、高齢の方は肺炎球菌ワクチンの接種も推奨されています。

■感染予防について

予防の基本は、例年と同じです。睡眠や栄養などに注意して体力を維持することです。

マスクの着用も重要です。昨年は、町中でもマスクを着用した人を多数見かけました、私は、そのことが、感染をずいぶん減らしたのではないかと考えます。手洗いも重要ですが、手ぬぐいの共用では感染することもあるので注意が必要です。うがいはあまり重要とは思いませんが、無駄ともいえません。ただし、うがいのコップの共用は危険です。

数十年に一度のパンデミックの翌年ということもあり、今シーズンのインフルエンザが、どのような流行となるのか、実際のところは予想が難しいと思います。

早めにワクチンを受けて、もし感染を疑ったら、マスクや手洗いを励行しながら、病院に相談することをおすすめします。

手の洗い方

(北海道勤医協友の会新聞2010年11月1日号より)
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2010年11月23日

健康ウォッチ 安全で効果的な温泉の入り方

(株)勤医協在宅 勤医協東在宅総合センター長 室田ちひろ看護師

秋も深まり、温泉が心地良い季節になりました。各地の友の会では「湯けむりツアー」や「観楓会」など、温泉に入る行事が予定されています。みなさんが楽しみにして入る「温泉」です。気持ちよく安全に入ることができるようにしたいものです。今回、温泉の入り方で注意することをお知らせします。

■持病がある方は

私自身、貧血・低血圧なので長湯をすると、すぐのぼせ、湯あたりしてしまうため、自分自身で注意している点も含めてお伝えしたいと思います。心臓や肺の弱い方、高血圧の方、高齢者の方は、特に注意して温泉に入りましょう。

■焦らずゆっくりと

浴槽に入る前はお湯の温度に身体を慣らすために、かけ湯をしましょう。足から腰、肩、胸の順でかけて体を慣らしていきます。これを行うと急激に血圧が上がるのを防ぐことができます。

首までしっかり入るのは、心臓の負担が大きくなり、また水圧で肺の容量も少なくなります。みずおちあたりまでお揚につかる半身浴で、ゆっくりのんびりとした入浴にできます。浴槽の縁に頭を乗せて体を浮かせて横たわるのも、水圧の影響をあまり受けずリラックスして入ることができます。

入浴する時間は額に汗がにじむくらいのほどほどの時間が良いでしょう。汗が流れ出るほどの長湯は危険です。額に汗がにじんできたら、浴槽のふちに腰をかけて足だけを湯につける、または洗い場で一休みするなど、休憩をとりましょう。

■水分補給と休憩を

一度の入浴で浴槽に入るのは2〜3回にとどめましょう。5回以上入ると、湯あたりする発生率が急激に増加すると言われています。2度目以降の入浴のときには筋肉や関節がやわらかくなっているので、お湯の中で筋肉や手足の関節を十分動かしましょう。

入浴後は、シャワーを浴びてしまうと薬効成分が流されてしまうので、タオルで体を軽く拭くようにすると温熱効果も持続します。お茶やスポーツドリンクなどを飲み、水分をしっかり補給しましょう。

入浴はエネルギーをとても消費し、血圧も変動するので、体調が安定するまで少なくとも30分以上は休憩をとりましょう。


■飲酒・食事直後は×

お酒を飲んだら入浴は絶対にやめましょう。温泉に限らず、お酒を飲んだら入浴をしてはいけません。

お酒も入浴も、ともに血管を拡張させ血液の循環をよくする働きがあり、血液は大量に皮膚表面へ移動して脳の血流が減少し、脳貧血を起こしやすくします。心拍数も増加させ心臓発作を起こしてしまう危険性があります。

入浴しながらの飲酒はもってのほかです。さらに転倒の危険性が増し、溺死の危険性もあります。

食事直後の入浴もさけましょう。入浴すると血流が促進され、毛細血管にまで血液がめぐります。これにより、食後本来は胃や腸に流れるはずの血液が減ってしまい、消化・吸収が低下してしまいます。

また、お湯の圧力が胃を押し上げるので、食物が胃から腸に移動しにくくなります。食後は30分から1時間の休息をとり、ぬるめの湯に入ることをおすすめします。できましたら食前に入浴しましょう。

■転倒などに注意

温泉施設の浴室は、スペースも広く温泉成分で床が滑りやすく、転倒しやすい環境にあります。

また、何らかのはずみで浴槽内でおぼれてしまうこともないわけではありません。持病がある方や高齢の方になれば、急激な体調の変化も考えられます。

できればおひとりでの入浴は避け、なにかあってもすぐに対応できるようにしておくことをおすすめします。

温泉の入り方のチェックポイント
1.まずは、かけ湯をしよう
2.入浴する時間はほどほどに
3.一度の入浴で浴槽に入るのは2〜3回にしよう
4.薬効成分を落とさないよう、入浴後は体をタオルで軽く拭くだけに
5.入浴前後には水分補給を
6.飲酒後は絶対入浴しない
7.食事直後の入浴はさけよう
8.転倒に気をつけ、できれば一人だけでの入浴はさけよう


(北海道勤医協友の会新聞2010年10月1日号より)

温泉の入り方のチェックポイント
1.まずは、かけ湯をしよう
2.入浴する時間はほどほどに
3.一度の入浴で浴槽に入るのは2〜3回にしよう
4.薬効成分を落とさないよう、入浴後は体をタオルで軽く拭くだけに
5.入浴前後には水分補給を
6.飲酒後は絶対入浴しない
7.食事直後の入浴はさけよう
8.転倒に気をつけ、できれば一人だけでの入浴はさけよう

タグ:温泉 入浴
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2010年11月18日

あきらめないでよかった!

看護現場からの発信
勤医協もみじ台内科診療所看護スタッフ

Aさん (60歳代・女性) は15年前に境界型糖尿病の診断を受け、現在はU型糖尿病とC型肝炎で通院中です。

治療開始当初のHbA1Cは6%台でしたが、08年ごろから血糖コントロール不良状態が続き09年には11%台まで悪化したため、インスリン注射の導入や教育入院をすすめました。しかし、そのときは拒否されて入院には至りませんでした。

今年に入ってAさんから入院を希望され、同居する精神疾患を抱えた家族と留守中の調整も行い、2月上旬から入院となりました。しかし、入院中に、精神状態が不安定な家族から頻繁に連絡が入り、その都度家族のもとへ外出を繰り返すなど落ち着いて治療に専念できず、早期退院となりました。

退院後も高血糖状態が続いたためインスリン注射の導入を検討しましたが、Aさんは家族の暴力から避難し連絡がつかない状態が続きました。2週間後にAさんと連絡がつき、まずは血糖自己測定から指導を開始しました。

導入時に担当を決めて、毎回同じ看護師が関わることにしました。しかし、話がかみ合わないことが多く、Aさんにはインスリン導入は難しいのではないかとも考えていました。導入当初はキャップを外せない、電極を逆に差し込んでしまうなど、一つの動作に集中できず、手技の習得がなかなかすすみませんでした。ご本人からも「私、できるかしら」 という言葉が聞かれました。

繰り返し係わる中で、家族や経済面での悩みが心に浮かび、Aさんが動作に集中できていないことがわかりました。そこで、Aさんの悩みに寄り添いじっくりと話を聞き、できたことを一つひとつ確認しあいすすめることで手技が身につき、自宅でも測定できるようになりました。

自己注射も初めは消毒や針のつけ忘れがありました。「インスリンは毎日打たなきゃダメなものかしら」 という疑問も出されましたが一つひとつ丁寧に説明して、自己注射ができるようになりました。Aさんのインスリン導入までには多くの困難があり、スタッフも 「本当に出来るのだろうか」 という思いを持ちながらの指導でした。しかし、Aさんの思いや悩みをじっくり聞き、がんばりを支えながら集中力ややる気を引き出していったことが、インスリン導入につながったといえます。現在、Aさんは自己注射を継続して定期的に通院されています。

さまざまに困難な条件を持つ患者さんの療養継続のために、あきらめず粘り強く寄り添っていくことの大切さを改めて実感しました。今後の看護活動にこの経験を生かしていきたいと思います。(もみじ台内科診療所看護師 久野かや子)

(勤医協新聞 2010年9月11日号より)
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2010年11月15日

家に帰るって嬉しいよ

看護現場からの発信
中央病院回復期リハビリ病棟看護スタッフ

 Aさん (70歳代・男性) は、当院急性期病棟にて胆石の治療を終え、09年3月にリハビリと在宅調整目的で回復期リハビリ病棟へ来られました。

 当初は、寝たきりで会話もできない状態が多く、夜になると興奮して動きが活発になり、壁や布団へ排尿する行動も見られました。

 同居のご家族は高齢の妻だけであり、在宅介護は難しく施設入所を考えていました。しかし、ご家族としては可能であれば在宅で生活させたい思いも抱いていました。

+ + +

 私たちは、Aさんが飲んでいる睡眠薬が夜間の興奮に関係している可能性から毎日の服用をやめ、トイレの認識をつけるため日中はトイレヘ誘導するとりくみを始めました。しばらくして、排泄に関して尿意を感じても我慢できず排尿していることが分かってきました。

 排泄がすぐできるように、病室内でポータブルトイレや尿器を使い始めました。しばらくすると、職員の介助を嫌がり、自分で尿器を使おうとする行動が出てきました。

 この時期からトイレに行こうとする行動も見られ、ご家族からは、認知症があっても排泄や睡眠の状況が少しでも安定すれば在宅で介護したいという思いも出されました。

+ + +

 その後、午後から夜にかけてトイレの回数が増えているのは、加齢によって循環機能が低下していることが原因だと分かり、食後は1時間横になってもらい水分が多く含まれるお粥からご飯食へ変えることで、夜間よりも日中のトイレ回数が多くなっていきました。

 もともと、夜間トイレの回数が多く、規則正しい生活リズムではなかったと分かり、短時間でもぐつすり眠り、疲れが取れていれば、一般的な生活リズムでなくても良いのではと考えました。

 平均2時間程度の睡眠時間でしたが、夜中でも起きていたいときはスタッフと一緒に過ごし、起きたい時は起きていてもらうことにしました。

+ + +

 退院が近づいたころ、Aさんは 「トイレにも間に合うようになって良かった。自分の家に帰れるって嬉しいよ」 とお話しするようになりました。ご自分で尿器やトイレを使って生活リズムを取り戻し、在宅生活を目指せる状況になり、自宅へ退院することができました。

 今回の関わりは、認知症が原因で起こる行動だけでなく、もとの生活習慣を調べて尊重しながら関わる大切さを学ぶことができた事例でした。(中央病院回復期リハビリ病棟 看護師 鹿野 邦子)

(勤医協新聞2010年8月11日号より)
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2010年09月14日

健康ウォッチ「プライマリ・ケア」のはなし

勤医協札幌クリニック院長 加藤達也医師

内科や小児科など診療科の垣根を越えて、幅広く診療に当たる「プライマリ・ケア」と呼ばれる医療に注目が集まっています。言葉をテレビや新聞などで目にすることも多いと思います。今回は、「プライマリ・ケア」を専門としている札幌クリニックの加藤達也院長にお聞きしました。

◆プライマリ・ケアとは

私が専門としている 「プライマリ・ケア」は「かかりつけ医」 「家庭医」 「総合診療医」ともほとんど同じような意味で使われています。

文字通りで言えば、"1次医療"または"基本的医療"となります。広い意味では、皆さんが健康な生活をおくることができるよう、地域住民の方がたとの身近さ・つながりを大切にして、問題が起きているときだけではなく、問題が起きないようにする予防段階から、患者さんとかかわりをもつ考えのことです。

さらには、患者さんや患者さんの家族を取り巻く環境、これまでの生活背景などにも気を配り、特定の臓器や病気にこだわらず患者さんが抱える問題に、多くの医療従事者とも協力しながら幅広く対応する保健・医療・福祉の実践として、最近は考えられています。

◆患者さんに寄り添う医療を行う

現在わが国の医療は少子高齢化の進行、医師不足問題など、複雑な状況の中にあります。

慢性的な医師不足に悩む地域医療の現場では、「自分たちの努力だけではもう持ちこたえられない」と悲鳴とも思われる声が上がっています。そのような地域医療の実情に対して「プライマリ・ケア医」をかなめとした医療システム作りが進んできています。

病院の専門医の疲弊や医療の地域格差など、わが国の医療問題を本質的に解決する「処方せん」 として、患者さんを幅広く、継続的に診察し、保健・医療・福祉への道案内をする 「プライマリ・ケア医」 の視点が必要であることを強調したいと思います。

そして、患者さんに寄り添った医療を行う「プライマリ・ケア医」 を主治医として持つことが、皆さんの「安心・満足」 の願いに応える重要なことのひとつだと考えています。


プライマリ・ケア医として加藤院長が心がけていること

1)自分に何ができるかではなく、「患者さんが何を求めているか」を基準にする。それに真摯に応えようと努力する。つまり「患者さんによって自分を変える」

2)患者さんや病気・問題の種類によって差別をしない。けっして最初から否定せず、まずは受け入れる。

3)病気だけでなく、精神面や社会的な問題も重視する。病気に対応するだけではなく、その患者さんの不安を解消する、その患者さんの社会的な立場を守る、ということも重要。

4)臓器、ヒトにとどまらず、家庭・地域の事情や状況も重視する。

5)診療室に来ない(来られない)方のことも考慮する。本当に深刻な患者さんこそ「プライマリ・ケア」の出番である。

(北海道勤医協友の会新聞2010年9月1日号より)
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2010年09月12日

新刊紹介 若者よ、マルクスを読もう 内田樹・石川康宏 著

若者よ、マルクスを読もういいから黙って読みなさい

”知的刺激”が満載の本です。執筆者の1人、内田樹さんは 「マルクスはすごいぞ」ということを、マルクスの「マの字」も知らない若者たちに理解してもらうのが本書のねらいだと言います。かといって、マルクスを何か完成された理論体系として学ぶよう求めているのではありません。

「20歳代の思索と情熱」の副題が示す通り、もう1人の著者である石川康宏さんとの往復書簡の形で、万人の 「人間的解放」を熱望した青年マルクスが「探検家的なバイタリティ」 で理論的探究に突き進む姿を生きいきと描き、たえず成長・変化をつづけたマルクスの言葉に添って一緒に考え、苦闘し、自らの知性を鍛えて下さいね(石川)と言っているのです。とりあげているのは20代に書かれた 5つの文献(「ユダヤ人問題によせて」「ヘーゲル法哲学批判序説」「経済学・哲学草稿」「ドイツ・イデオロギー」「共産党宣言」)。石川さんが各文献の政治史的・思想的系譜、マルクスの思索の過程や「キモ」を明らかにし、内田さんがしなやかにマルクスの 「すごさ」を指摘します。例えば「マルクスを読んでも、問題は解決しません。でも、自分がどれくらいものを考えるときに不自由であったか…は身にしみて分かります」のように。続編が楽しみです。(山)(かもがわ出版・1500円+税)

(北海道民医連新聞2010年8月12日号より)
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健康ウォッチ 「早期発見・治療が大切」歯科のはなし

勤医協きたく歯科診療所所長 荻原 宏志 歯科医師

4月に、札幌市北区新琴似に勤医協きたく歯科診療所を開院して、約4ヶ月が経過しました。

これまで数百人の患者さんとの新たな出会いがあり、中には「歯科は10年ぶり」「歯科が嫌いで痛いのをがまんしていたが、ここを見て意を決して来た」「介護で忙しいのでここだけ治してはしい」「お金がない。勤医協だから相談できると思って」といった方が少なくありません。潜荏的な患者の多さを実感しています。

歯科はコンビニエンスストアより多いといわれます。その中での開院に不安がなかったわけではありませんが、治療を通じてより多くの方に豊かな笑顔と生活を提供できるよう努力しています。

◆発見が遅れると時間も費用もかかる

歯科は「怖い」「何か不都合が無いと行かない」所というイメージがあるかもしれません。

しかし、「痛い」 「ぐらぐらする」など症状が出てから、あるいは最後の通院から時間が経過して受診になると、神経の治療をし、金属の被せものが必要であったり、抜歯をせざるを得なくなり入れ歯になってしまう等、治療期間や見た目、機能や費用的にもあまりいいことがありません。

例えば一本の奥歯の治療で3割負担の方の場合、早期に虫歯がみつかって削って詰める治療であれば千円ほどの治療費で回数も一回で済みますが(図1)、神経を治療して土台を立て冠を被せるとなると6千円ほどになり回数も5回以上になってしまいます(図2)。更に奥歯ではなく前歯1本に被せものをした場合には8千円はどの負担となってしまいます。

小さな虫歯は埋める治療で一回治療。大きな虫歯は回数も費用もかかります。

◆歯を失うと?

一本の菌を失った場合、修復する方法がいくつか挙げられます。

@両隣の歯を削ってつながった冠(ブリッジ) を入れる
A両隣あるいは何本かの歯にバネを掛けて入れ歯を入れる
Bインプラントという人工歯根を埋め込んで修復する、といった方法です。(図3)

それぞれには長所短所がありますが、短所を述べますと、@は両隣の歯が健康であっても削らなければいけませんし、被せものの場合前から4番目の歯以降は保険では白くできず銀歯になります。Aは大きく歯を削らずに済みますがバネが見え、異物感が大きく粘着性のもので外れたりすることがあります。Bは骨の条件によっては埋入が困難な場合があること、保険がきかないため一般的に数十万円の費用が必要です。

いずれの場合を見ても早期発見・早期治療がいかに重要か、お分かりいただけるかと思います。

早く見つけることが出来れば、大ごとにならずに済むのです。歯科の立場としても「よい治療」をするのが大事なのはもちろんですが、虫歯などの治療が一通り終わった後も定期的に患者さんに来ていただき、行った治療に責任を持ってしっかりと管理ができることがより大切なのです。

一歯欠損修復方法

◆気軽に歯科受診を

「どのくらいの間隔で歯科受診すればいいの?」と、よく患者さんから聞かれます。歯周病の進行具合などによって1か月から半年くらいまで個人差がありますので、担当の歯科医師と相談してください。


私たちの歯科では治療を終えた患者さんに定期的に来院していただき歯石を取り、専用の機械で歯をクリーニング(PMTC) することを勧めています。

歯の表面が滑らかになると、細菌や歯石が付きにくくなるので、患者さん自身が行う歯磨きも効率がよくなります。そして何よりお口の中がとてもすっきりし、歯周病の進行や口臭も防ぐことができます。これまでも多くの方に好評です。

「歯科は怖い」「痛い」などイメージを変えるために私たちも努力していきます.歯科を「お気軽に」ご利用していただければと思います。

※図は潟c潟^トリニティアニメからの抜粋です

(北海道勤医協友の会新聞 2010年8月1日号より)
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里帰り後記 2

オーティスあゆみアメリカ通信

ところで、祖父が亡くなったので、帰りの飛行機の便の変更をすることにしました。5年前に祖母が亡くなったときも、帰る間際だったので、変更したんですよ。そんなに高い金額を請求された記憶もなく、ただキャンセル待ちで50人くらいといわれて、絶対無理だと思っていたら大丈夫だった…というのが、前回の私の記憶。今回もそんなつもりで電話をしたところ、まず子どもたちのチケットは旅行会社から格安で購入しているので、帰りの便を変更すると、必然的にグレードがアップすることになり、そのグレードアップにかかる金額が一人270ドル。今は円が強いので2万5千円くらいでしょうか。そしてその変更手続きにかかるのが一人更に100ドル。ただし、身内の不幸が重なっての変更は、死亡証明書を提出できるなら、祖父母、 孫の関係までなら免除。つまり子どもたちはひ孫に当たるので、私だけ100jは免除ということです。

そして私のチケットは、集めたマイレージと交換したチケットなので、座席に限りがあり、変更すると千歳空港から羽田まで行き、羽田から成田という経路に変更になります。私だけ別にはいけないので、必然的に子どもたちのチケットも同じ経路に変更しなくてはいけず、そうなると羽田で乗り継ぎ、荷物をもって、今度はリムジンに乗って成田へ向かう3人の姿を想像してしまったんですね。

あとは頭の中をそろばん、いえ、電卓が動き出し…と、こんなに長いこと書きましたが、結局変更しなかったんですよ。子どもたちに 『たった2日搭乗日を延期するのに5万円以上も追加で払うのはばかげている!』といわれ、泣く泣くあきらめました。なので、祖父の告別式の後、出棺する家族たちを見送って、私たち3人は違う方向に出発したんです。

祖父の冥福を、心より祈っています。

オーティス・あゆみさん=北海道勤医協の元看護師。米国人と結婚し1997年に渡米、カリフォルニア州サンタローザ在住。同市内の老人ホームに勤務。家族は夫と2男。

(北海道民医連新聞 2010年8月12日号より)

Field-note 北の自然 ツユクサ

field-note262ツユクサ

朝露きらめく野に、涼やかな青を添えるツユクサ。名の由来は、朝露の消える頃には花を閉じるからとも、露をまとって咲くからとも言われています。万葉集では花の命の短さから、はかなさの象徴として詠まれたものも多く、情緒豊かな日本人に昔から愛されて来たことがうかがえます。

青い花の真ん中には黄色い雄しべがありアクセントになっていますが、実はこの部分には花粉はありません。しかも花が開いたときにはすでに9割以上の花で自家受粉が終わっているという研究結果もあります。これは、開花している時間が短く、しかも受粉してくれる昆虫が活発に動き回る前の時間帯ということが関係しています。他人に期待せず自分で完結しているのですね。

黄色い雄しべに花粉はありませんが、先のくるりとカールした長い雄しべには花粉がついています。これで残りの1割をフォローするというわけですが、黄色い雄しべにたっぷりと花粉があると見せかけて昆虫を呼び寄せ受粉してもらう算段です。花粉を作り出すエネルギーを最小限に抑え、かつ確実に結実させるという見事な戦略なのです。

(北海道民医連新聞 2010年9月9日号より)
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